ブックレビュー 山本周五郎

季節のない街 (★★★★★ 星5つ) 貧民街の人々の機微を描いた物語で、作者自らが この『季節のない街』は都会の『青べか物語』といってもいいほど内容には共通点が多いのである と言っているほど、構成は似ている。しかし、構成…

ブックレビュー オスカー・ワイルド

サロメ・ウィンダミア卿婦人の扇 (★☆☆☆☆ 星1つ) 19世紀末文学の代表作と言われるが、冗長で詩情に流されすぎた展開がどうも好きになれなかった。当時、新奇なファッションや言動で社交界で注目されたというワイルドだが、フ…

ブックレビュー『ダライ・ラマ自伝』

ダライ・ラマ(著) (★★★★★ 星5つ) ダライ・ラマというと、個人的には仏教の最高指導者としての立場がまず思い浮かぶのだが、本書でそれよりもはるかに際立っていたのは、チベットの先導者としての立場だ。北京オリンピック開…

ブックレビュー ショーン・タン

アライバル (★★★★★ 星5つ) 大型本で、セリフや文字に依らず、イラストのみで物語を描き出してある。一応、表紙は日本語になっていて、日本語版ということになるのだろうが、本編には言葉が一切ない作りだから、日本語版を買っ…

ブックレビュー サン・テグジュペリ

夜間飛行 (★★★☆☆ 星3つ) さしたる感銘も受けずに何となく読み終えてしまった。最初、時代が違うからだろうかなどとも思ってみたが、自分の生きている時代とは時代が異なる作品を読むときには、当然その時代時代の事情を斟酌し…

ブックレビュー『死都ゴモラ』

ロベルト・サヴィアーノ(著) (★★★☆☆ 星3つ) いわば、イタリアマフィアの実体告発本。Amazonのブックデータベースには「ノンフィクション・コラージュ小説」とか「捜査小説」などと書かれているが、小説ではない。小説…

ブックレビュー ポー

ポー名作集 (★★★★☆ 星4つ) 推理小説というかミステリー小説というか、そういうものの魁たるポー。その時代は、今では古典といってもいい過去になり、より刺激的で残忍で血なまぐさい描写はその後いくつも出てきたから、今では…

ブックレビュー『ノア ノア』

ポール・ゴーギャン(著) (★★★★★ 星5つ) 去年(2010年8月)ゴーギャン展が東京国立近代美術館であって、数々の作品を見た。自分の中では、ゴーギャンはフランスと、フランス的・西洋的絵画界とを捨ててタヒチに行き、残…