ブックレビュー 『もの食う人々』

ブックレビュー『もの食う人々』辺見 庸(著)

辺見 庸(著) (★★★★★ 星5つ) 『もの食う人々』が題名だが、より正確に言うなら、『食いたいものが食えない状態ながらも生(せい)のために食う、あるいは食えない人々』である。共同通信の特派員時代から世界各地へ行き、壮…

ブックレビュー 『ヒトはなぜヒトを食べたか ― 生態人類学から見た文化の起源』

ブックレビュー『ヒトはなぜヒトを食べたか ― 生態人類学から見た文化の起源』

マーヴィン・ハリス(著) (★★☆☆☆ 星2つ) 人肉食行為はその特殊性と異常性でしばしば話題になるが、それを人類学的見地から紐解く…のかと思っていたら、期待はずれ。 というのは、本著の主題は人肉食ではなく、石器時代から…

ブックレビュー『ダライ・ラマ自伝』

ダライ・ラマ(著) (★★★★★ 星5つ) ダライ・ラマというと、個人的には仏教の最高指導者としての立場がまず思い浮かぶのだが、本書でそれよりもはるかに際立っていたのは、チベットの先導者としての立場だ。北京オリンピック開…

ブックレビュー『死都ゴモラ』

ロベルト・サヴィアーノ(著) (★★★☆☆ 星3つ) いわば、イタリアマフィアの実体告発本。Amazonのブックデータベースには「ノンフィクション・コラージュ小説」とか「捜査小説」などと書かれているが、小説ではない。小説…

ブックレビュー『ノア ノア』

ポール・ゴーギャン(著) (★★★★★ 星5つ) 去年(2010年8月)ゴーギャン展が東京国立近代美術館であって、数々の作品を見た。自分の中では、ゴーギャンはフランスと、フランス的・西洋的絵画界とを捨ててタヒチに行き、残…

ブックレビュー『男だけの育児』

ジェシ・グリーン(著) (★★★★★ 星5つ) 子供を持つことを待ち望んでいたユダヤ教徒の男アンディと、その男に惹かれるが故に事実先行型でアンディの養子を共に育てることになった主人公の男、ジェシ。リリカルな叙述と次々に展…