ブックレビュー 吉田修一

パレード (☆☆☆☆☆ 星ゼロ) まさに糞の役にも立たないとはこういう本のことだ。ダラダラ無意味な描写を続けた挙げ句、最後に支離滅裂ながら、その前に無理やり置いた伏線からはさもありなんという犯罪の展開をして、しかもケツが…

ブックレビュー 安岡章太郎

海辺の光景 (★★★★☆ 星4つ) 短篇集。表題の作品は「うみべ」ではなく「かいへん」だそうだ。 精神を病んだ母親に最期に付き添う様が、そこに至る思い出とともに過去と現在を行きつ戻りつして描かれている。人が狂気に至る様、…

ブックレビュー『世界屠畜紀行』

内澤旬子(著) (★★★★★ 星5つ) 本の背表紙にある宣伝文句には「いつも『肉』を食べているのに、なぜか考えない『肉になるまで』の営み。」とある。俺はそのことをたまに考える。屠畜場がどうなっているのか、動画レポートで見…

ブックレビュー 内田百閒

サラサーテの盤 – 内田百閒集成(4) (★★★★★ 星5つ) 東京にまだ闇があった頃。その闇の怪奇をファンタジックに描いた短篇達が、ノスタルジックな印象。これは「小説」なのだろうか、と思うような、突然始まり…

ブックレビュー『南方熊楠』

鶴見和子(著) (★★★★★ 星5つ) 破天荒な生き方と、何者をも凌駕する圧倒的な知力と、尽きることを知らない探究心。それが南方熊楠の膨大で深遠な世界を作り出しているが、南方の学問と同じで、彼の生き方を体系的に整理したも…

ブックレビュー 恒川光太郎

夜市 (★★★★☆ 星4つ) 軽く読めて筋も追いやすいのだが、浅くはない。物語の取っ掛かりはたやすいのに、そこからの展開が予想外に深い。ホラーというと残虐性や陰惨さだけが追い求められそうだが、この作品はその点とても上品だ…

ブックレビュー『両性具有の美』

白洲正子(著) (★★★★★ 星5つ) 両性具有というと、インドのヒジュラだとかギリシャ神話のヘルマプロディートスだとかを思い浮かべるだろうが、前者は時に神としてあがめられ、後者は人間のもっとも美しい姿との賞賛を受けたギ…