ブックレビュー 内田百閒


サラサーテの盤 – 内田百閒集成(4)

(★★★★★ 星5つ)

東京にまだ闇があった頃。その闇の怪奇をファンタジックに描いた短篇達が、ノスタルジックな印象。これは「小説」なのだろうか、と思うような、突然始まり、あっけなく終わるストーリー達は、それらが集まってそぞろ歩き出すとき、百鬼夜行を平安から東京に息を吹き返させる。

物書きにとっては、書きたい物を書けばそれでいい、と勇気づけてくれるような側面がある。