ブックレビュー『プリンシプルのない日本』


白洲次郎(著)


(★★★★★ 星5つ)

ラショナルであるがゆえに少数派でありながら、その信義を貫くことは希望をもたらすのだと思わせる政治論が展開されている。昨今の白洲次郎「ブーム」は、彼の風雅なライフスタイルばかりが雰囲気だけの薄っぺらい男性ファッション誌に取り上げられたりするが、その前に原理原則とは何か、人間性とは何かを知るために、読むべき本。

憤った論調が多いのは、彼の情熱を表しているもので、決してネガティビティではない。論議の内容についてはやはり戦後創世記の大波のなかでリーダーシップを取らねばならないさなかの出来事で、すべてに賛同するものではないが、プリンシプルに乗っ取った者の考えとはなんぞやを知るに好適。昨今の 腐ってヒネ曲がった為政者を気取る連中に煎じ薬として与えるのみならず、多くの人に読んでもらいたい本。