ブックレビュー 川端康成

古都 (★★☆☆☆ 星2つ) これに高評価を与える人は、川端康成が高名であったことに引きずられている人だ。端的に言うとブランドの盲信、詳しく言うと文豪の著作は名作に決まっているという洗脳に毒されているとでもいおうか。この…

ブックレビュー『小説家のメニュー』

開高 健(著) (★★★★★ 星5つ) 『最後の晩餐』と同じく、食に関するエッセイだが、こちらは珍しい食材をもとに持論を展開している。パッと見(読み)はやさしく、スイスイ読めるのだが、そこには途方も無い知見と食に対する深…

ブックレビュー いしいしんじ

みずうみ (★★★★☆ 星4つ) 分類するなら幻想小説ということになるだろうか。物語は三部構成になっている。月に一度村を水浸しにするみずうみと不思議なしきたりに暮らす村の話からスタートして、童話を聞くような気持ちで第一部…

ブックレビュー 石田衣良

波のうえの魔術師 (★★★★☆ 星4つ) 金融エンターテインメント小説、とでも言ったらいいのだろうか。老相場師に雇われた大学生が次第に株式にのめり込み、相場師とともに大銀行相手に大きなディールを画策する物語。と聞くと株式…

ブックレビュー 伊坂幸太郎

死神の精度 (★★★★☆ 星4つ) 前に読んだ↓の『重力ピエロ』が肩すかしだったが、『オーデュボンの祈り』は面白かったので、伊坂幸太郎という人を捨てきるには忍びなく、読んでみた。さて、雑誌の連載を1冊にまとめたもので、シ…

ブックレビュー 戌井昭人

まずいスープ (★★★★☆ 星4つ) 短篇集。小説はリアリティーを追求すればするほど描写は難しくなる。リアリティーを出すには細かい設定が要るがしかし、小説とはその設定された舞台のうえで嘘をつく余地のうえに展開されるものな…

ブックレビュー 稲垣足穂

一千一秒物語 (★★★☆☆ 星3つ) 自分にとって稲垣足穂といえば『A感覚とV感覚』だが、それもこの本には収録されている。しかし、それを読もうと思ってこの本を買ったのではなく、読もうと思ったのは、タイトルの物語に興味を惹…

ブックレビュー 今邑 彩

よもつひらさか (★★★★☆ 星4つ) ホラー短篇集で、12個の物語が入っている。いずれの物語も、短い中で展開が二転三転して、テンポがよい。そしてよく練られている。好みの濃淡はあるけれども、現実感ある世界の中でありそうな…