音楽レビュー Tank


Sex Love & Pain II (2016)


(★☆☆☆☆ 星1つ)




2007年にリリースの”Sex Love & Pain”の続編として何故か作られた。端的に言って酷い。前作”Stronger”で飛翔したのに全てを無駄にしてしまった印象。

まず、音楽的に凡庸。バックトラックに工夫が見られず、メロディーはメロディーとも言えないようなリフの繰り返し。ボーカルも退屈で、誰がやっても同じようなもの、声域にも歌い回しにも見るべきところは皆無。

そして、歌詞といえば、ただただ拗ねた男の恨み節をウジウジ言い続けるだけ。Chris Brownをフィーチャーした曲も例によって例のごとし。今のR&Bファンはこんな退屈で中身の希薄な代物に何の価値を見出すのだろう? 音が流れていて流行りならば何でもいいのか? この作品への落胆は、見えない大衆への憤懣へ道筋を立てる。データで買ったならさっさと削除して他の作品にメモリーを空けるべき。(2016/2/9 記)

Stronger (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

前作でなよなよしていて退屈、と酷評したこのレビューが届いたのか(笑)、本作は抜群にパワーアップし、その名もStronger。がっちり骨太で適度にエレクトリックな音で攻めに転じた。とても成功していると思う。

この作品では自分の少し線の細いボーカルを充分認識したうえで、今のミュージックシーンでどう売り出すかを的確に判断できている印象。その一方でバラードも存分に聴かせ、緩急のうまく効いたテンションを1枚の中で作り出し、ストーリーがある。 (2014/8/23 記)

This Is How I Feel (2012)



(★☆☆☆☆ 星1つ)

Tankは前作で「線の細い人だな」と思わせたが、どうにも退屈。歌もはっきり言って大したことがないし、単純なフレーズの繰り返しだけで曲が作られていて、それがキャッチーでもなく、なおさら飽きる。なよなよ、ショボショボしていて、魅力が感じられない。同時期に合わせて聴いたR. Kellyの「結局やっちゃう系」も、うーん、と思うが、この男のショボさならまだあっちの方がいい。曲の作り・表現力もR. Kellyが優る。

結論:セックス丸出しもどうかと思うが、意気地のない男はもっといただけない。
(2012/7/12 記)

Now Or Never (2010)


(★★★☆☆ 星3つ)

TankはToni BraxtonMonicaにも曲を提供している人。本人の音楽はどんなもんだろうかと聴いてみたが、無骨な音楽を想像させる外観と違って、繊細。だが、セクシーさや透明さを堪能できるほどではなく、ただか細い感じで聴いていて心配になるほどで、ちょっと印象の薄い人だなと思った。時々、ソングライティングをやっている人がこうして自ら出てくることがあるが、曲のことを一番知っているからといって、一番よく表現できるのではない気がする。