音楽レビュー Toni Braxton


Babyfaceとのデュエットアルバムについてはこちらのページを参照

Midnite (2012)


(★★★☆☆ 星3つ)

このアルバムの前にリリースされていたシングル”I ♥ You”に入っていたリミックスがリッチな音でよかっただけに、アルバムを期待していたのだが、これは音が寂しい。”Midnite”と題した内容に沿った音数を整理した作りはわざとなのだろうが、減らして洗練を追求した形というよりは、ただ単に痩せた印象になってしまった。

それから、歌い方が少々恣意的すぎて、個性を無理に出そうとしているのが気になる。元々低いキーでシックな歌い方が特徴のToni Braxtonだが、感情表現をことさらわざとらしくしなくても一聴して彼女と分かる声なのだから、妙な絞りなんかはやらなくていいと思う。その歌い方と減らした音とはマッチしていない。この時代にあっては誰も彼もが苦しいクリエーションを強いられているが、そこをもうひと頑張り・もうひと盛りしてほしかった。(2012/10/30 記)

Pulse (2010)


(★★★★☆ 星4つ)

Babyfaceの息のかかったアーティストとして華々しくデビューしたのは1993年。主に活躍は90年代の方が華々しく、レコード会社移籍に伴なうトラブルが印象にあったので個人的な印象では00年代には目立った活躍がなかったと思っていたが、2005年のアルバム”Libra”ではゴールドアルバムを獲得している。

さて、その”Libra”からさらに5年を経て発表された本作は、華美なところがなく、しっとりとしている。どこか哀愁がただよううような感じさえするのは、Toni Braxton独特の低くシックな声が活かされているからか。一時期は「bi*chな言動」とか、露出過度の衣装などで皮肉られたToni Braxtonだが、アーティスト本来の印象に立ち戻ったようで、好ましいと思った。