音楽レビュー Monica


Code Red (2015)


(★★☆☆☆ 星2つ)




勇ましいアルバムタイトルの割にはピンとこない。Monicaは結局ファーストアルバム”Miss Thang”と、Brandyとのデュエット”Boy Is Mine”よりも後に出たもので聴くべき意義を感じるものがほとんどない。

このアルバムではまず打ち出しとして1曲目にMissy Elliott、2曲目にLil Wayneをフィーチャーしているが、いずれも不発。Janet Jacksonが”Unbreakable”のシングル”Burnitup!”でうまくMissy Elliottを使って煽りに成功したのとは対象的。

その後もダルは続く。せっかくの歌唱力が活きていないのは、ダラダラした印象の節回しをせざるを得ない楽曲の責任か。”Ocean Of Tears”あたりでは多少グルーヴの妙が見られるが、後半になって飽き飽きしてきた頃なので、聴きどころでもなく、”I Miss Music”に至ってはタイトルは自己憐憫なのかとさえ感じられる。そしてどうにも凡庸なコード進行の”Anchor”で不発なままアルバムは終わる。

どうした、Monica。これでいいのか?(2015/12/26 記)

New Life (2012)


(★★★☆☆ 星3つ)

耳あたりはいいのだが特に何も残さないBGM的アルバム。2匹目のどじょうを狙ってどじょう顔のBrandyと再びデュエットした”It All Belongs to Me”はインパクトが薄い。そもそも声質やレンジが似通っている2人では、聞き流しているとデュエットであることさえ気づかないかもしれない。Wale(「ワーレー」と読むんだそうだ)というラッパーをフィーチャーしたのはなんだかダル。

私生活では↓の”Still Standing”から一転、NBA選手と結婚した。New Lifeとはそういう意味なのだろうが、音楽に関して言うと、いい方向に転べばMonicaはもっと普遍的なR&Bアーティストに成長すると思うのだが、どうもブレイクしかねていて、歯噛みは続きそうだ。

Still Standing (2010)


(★★★☆☆ 星3つ)

デビューアルバム”Miss Thang”は鮮烈でよく聴いたものの、世間的にはMonicaの代表作となった”Boy Is Mine”はあまり好みでなく、そして、2003年のアルバム”After The Storm”が何回聴き返してもピンとこなかったので、しばらく記憶の底に眠っていたMonica。ボーイフレンドの自殺などもあって、しばらく一線から遠ざかっていた彼女の、久しぶりのカムバック・アルバム。

デビューアルバム”Miss Thang”で特徴的だった、こぶしをコロンコロン回す歌い方は健在。1曲目はいかにも2010年現在の、誰がやっても同じに聞こえるつまらない曲調で、続く曲が危ぶまれたが、後は聴けるのでほっとする。Denice Williamsの名曲”Silly”に別メロディーを乗せた”Everything To Me”は、微妙なものの努力が見られるが、やはり、過去の堆積物を燃やすしかない現代の音楽の化石燃料状態をあらためて感じる。ソウルミュージックがほぼ死に絶えた今、まだこれでもMonicaの音楽は、良心的なのかもしれない。