音楽レビュー Lyfe Jennings

Tree Of Lyfe (2015)


(★★★★★ 星5つ)




とても社会的で同時に内省的。たまにこうした重めのR&Bを聴きたくなる。例えばKEMLynden David Hallのような感じだ。声質も彼らと通じるところはあるが、それは研ぎ澄まされたサウンドスタイルの中でボーカルが浮き立つからそう感じるのかもしれない。細かいビブラートとやや細めの声はSmokey Robinsonぽくもある。

ニューヨーク・タイムズに”Social Minded R&B singer”と評されたこともあるらしく、”#Hashtag”と題された曲があれば、ストリッパーへの応援歌(単にストリップバンザイではない)としてPVが作られたシングルカット曲”Prety Is”など、社会を見つめる独自の視点が活きている。
特にこのアルバムは今を席巻するケツフリダンスとしてのR&Bへのカウンターとして、意味のある音楽を創造することを意図したそうで、お気楽お遊びのR&Bはそれはそれでありだけれども、生きることについての音楽が提供されることも社会的に必要と考えているようだ。

そんな音楽をやろうとする気骨ある精神は、かつて放火で懲役刑を受けた前歴も影響しているのかもしれない。社会的困難から自立して生きていくことの難しさや、幸運にもそのチャンスを得て活かすことのできた人生が裏打ちする音楽は、もっと広く知られ、高評価を受けていいと思う。(2015/7/7 記)

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