音楽レビュー Paulini


Come Alive (2015)


(★★★★☆ 星4つ)




オーストラリアのポップアーティストPaulini。これが3枚目のスタジオアルバムで、前作”Superwoman”(ご存知Karyn Whiteの名曲のカバーがタイトルソング)は2006年だから、9年ぶりのアルバムだ。黒人アーティストではあるが、本人もインタビューでポップアルバムだと言っているため、分類としてはRock/Pop/Othersにしておいた。

作風はポップだが、内容としては音楽生活のみならず人生での奮闘を表したものだとか。そのせいか、単なるラブソングでなく、ひねりの利いた歌詞のものもあり、どこか哀愁を帯びた曲調が特徴的。結果として、歌の上手さとも相まって、キャッキャしたお気楽ポップではなく、大人も聴けるものに仕上がっている。もう一歩踏み込んだインパクトがほしいなとも思う一方で、聴きやすい曲で構成されたこのアルバムは爽やかな声とマッチしていて、まとまりを感じるので、これはこれであり。

せっかくいい作品を持ったアーティストなのだから、オーストラリア国内だけでなく、もっとインターナショナルに存在を知られてほしいものだと思うが、最近のUSチャートを賑わす一連の曲を思い浮かべると、それにはもっとアクの強さが必要で、これは少し上品すぎるのかもしれない。個人的には好きだが。(2015/7/9 記)