音楽レビュー Jeffrey Osborne

Worth It All (2018)


(★★★★☆ 星4つ)



Jeffrey Osborneは良質な音楽を届け続けているが、日本ではあまり名が知られていないかもしれない。しかし、Whitney Houstonの”All At Once”の作詞をし、USA for Africaの”We Are The World”に参加しているといえば、その偉大さは知れるだろう。あるいは、Dionne Warwickとのデュエットである”Love Power”でその声を耳にしたことがある人もいると思う。俺も、実はJeffrey Osborneを初めて意識したのは、1987年リリースのその曲だった。いずれにしろ、日本での知名度にかかわらず、Jeffrey Osborneは、美しいメロディーと叙情的な歌詞を活かす素晴らしいボーカリストで、アダルト・コンテンポラリーを牽引してきたアーティストだ。

長いキャリアでそのような美点を持つアーティストも、商業主義でアルバムが出しにくくなっている昨今、2018年になってJeffrey Osborneの新譜が聴けるというのは、とても喜ばしい。声は衰えておらず、素直なボーカルは聴いていてほっとする。フレーズの端々にまで神経を配った歌い方は、とてもプロフェッショナルだ。下手に賑やかしのフィーチャリングアーティストを入れず、ソロはソロとして勝負しているのも潔くてよい。ちなみに、このアルバムはセルフプロデュースのアルバム。

音は、多少構成が古いかなと感じられる部分もある。”Just Can’t Stand It”中のシンセブラスのリフや、Can’t Help Myself”のそれなどは80年代のそれ。ヤマハのDX7が出た頃に、こぞって使われた音だ。しかし、アコースティックな構成ではそうしたことを意識せずに、スタンダードな音構成として聴ける。ローズピアノのソロで始まるタイトルソング”Worth It All”は、深く美しい。

少し今の音に疲れたら、聴くと癒やされる一枚。(2018/8/14 記)

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