音楽レビュー Whitney Houston


I Look To You (2010)


(★★☆☆☆ 星2つ)

リリース前にプロモ盤で全曲視聴。結果、残念。ドラッグは声をも蝕み、風邪っ引きのような声がいかにも精彩を欠く。曲陣も鳴り物入りだが、その割には曲がどれもぱっとしない。
ハウスリミックスで”I Didn’t Know My Own Strength”が出ていて、こちらもプロモ盤を視聴したが、元のボーカルを考えるとリミックスで頑張って頑張って曲を仕上げた感じでまあ聴ける。しかし、このアルバムに収録されているオリジナルバラードはやはり声が荒れていて、聴いていて辛い。タイトルソングのバラード”I Look To You”も同じ。アルバムとしてはストリーミングラジオでかかっていたら聴いていてもいい程度。

「あの」Whitney Houstonが今どうなったかという興味はとてもあって、期待を込めて聴いただけに、返す返す残念。 ドラッグで失ったものはあまりにも大きかった。

My Love Is Your Love (1998)


殿堂入り作品

オリジナルスタジオアルバムとしては”I’m Your Baby Tonight”以来8年ぶりだが、その間にはあのBody GuardやPreacher’s Wife、Waiting To Exhaleなどがあったから、8年はブランクではない。

このアルバムの特徴は2つ、豪華なフィーチャードアーティストとたくさんのハウスリミックスの存在。Faith EvansKelly Price、そしてStievie Wonderが参加している。ただ、セールス的に目玉になるはずだったMariah Careyとは折り合いが合わなかったよう。シングルカットされた曲のリミックスは歌物ハウス全盛の頃のまさに旬なリミキサーが集って作成し、ガラージハウスDJにはいずれも必携。

I’m Your Baby Tonight (1990)


殿堂入り作品

リリース当時はタイトル曲他を提供したL.A. Reid & Babyfaceのカラーが強すぎるという声もあったが、華やかな曲調を見事に自分のものにしている。華やかさだけでなくファーストアルバムにあったすがすがしさがほしいというリスナーには、4曲目の”Lover For Life”がお勧め。これまた捨て曲なしの名盤。

Whitney (1987)


殿堂入り作品

明るく元気の良いダンスナンバーと、美しいメロディーのスローナンバーの組み合わせが絶妙。後にこのアルバムの曲は様々なリミキサーによってハウスリミックスが産み出されるソースともなった。捨て曲なしでどれもがため息の出る美しさ。最後の曲”I Knew Him So Well”はゴスペルシンガーである母Cissy Houstonとのデュエットで、悲恋の曲なのに大きなスケールで心地よい。

Whitney Houston (1985)


殿堂入り作品

瑞々しく爽やかな音でたちまちR&B界を席巻した1枚。邦題は『そよ風の贈り物』。バランスの良い10曲はどれもが真珠のように清潔な輝きを放つ。日本でもR&Bもどきのサウンドスタイルコピーの曲があったが、本家本元のこれには到底敵わず。デビューアルバムにして恐るべき完成度。Jermaine JacksonやTeddy Pendergrassとのデュエットは思わず聞き惚れる。