音楽レビュー Babyface

Return Of The Tender Lover (2015)


(★★★☆☆ 星3つ)




最初に言っておくと、俺はBabyfaceを尊敬しているし、偉大なるソングライターだと思っている。ソングライターとしてだけではなく、シンガーとしても秀逸で、ライブパフォーマンスも数年前に見たが、未だ衰えずで素晴らしかった。昨年のToni Braxtonとのアルバム”Love, Marriage‎ & Divorce”も好きだ。

しかし、このアルバムは期待外れだった。期待外れというのには、2種類あると思う。1つは、いいかなと思ったら良くなかった、という単純な落差。そしてもう1つは、大きな期待を込めていたが、出来は悪くないにせよ、充分に応えてくれるほどのものではなかった、という裏切られた落胆。このアルバムは後者だ。

まず、曲数。わずか9曲。あれほどまでに音楽を紡ぎ出している人なのに何故、との疑問が消えない。そして曲のバリエーションと曲調。このアルバムは名盤”Tender Lover”へのオマージュで、ニュージャックスウィング華やかなりし頃にキャッチーでスウィング感溢れる曲を数々収録していたあれに捧げられたものにしては、ダルだ。

このアルバムのどこをどう切っても音は紛れもなくBabyface。それに不満はない。にしても、果敢さがない。そして、ダンスを捨てているように感じる。
この、ダンスを捨てているように感じるというのは、マイナスの大きな要因で、実は個人的に”Tender Lover”や、その頃相前後してToni Braxton, Whitney Houston, TLC, Pebbles, Karyn White, Sheena Eastonなどに提供された華麗なダンスナンバーを捨ててBabyfaceが自身のアルバムでメロウに走ったのは大いに不満だった。なので、”Retern”と聞いてすわ、と聴いてみたものの肩透かしだったことの落胆は大きかった。そして、一通り聴いてみても”Tender Lover”のオマージュなるほど、と思わせる関連性が感じられない。

洗練と肩の力の抜け方に文句はない。しかし、これでいいのだろうか、と思う。久方ぶりのソロスタジオアルバムなだけに、疑問はくすぶるばかりだ。(2015/12/8 記)

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