ブックレビュー ジャック・ケルアック

オン・ザ・ロード


(★★☆☆☆ 星2つ)

かつては『路上』の邦題で出ていたものの新訳・改題版。ビート・ジェネレーションの代表者というか開祖というか、それまで生産的で勇敢であることが美徳として求められていたアメリカ社会の中で、今で言うサブカル的生き方をし、それを表現した先駆の人としてケルアックは有名だが、これを読み始める前に、きっと読んでいて退屈するだろうなと思っていた。

実は、ケルアックの作品は、前に『地下街の人びと』を少し読んだのだが、まるで精神に異常をきたしたかのように延々と改行なしで続く独白タイプの文章に嫌気がさしてしまって、本の4分の1も読み進められずにギブアップした過去がある。

果たして『路上』なのだが、やはり読むのが苦痛だった。文章的体裁はまだ読めるにしても、内容があまりにもクソだったからだ。(そういう汚い言葉は、ケルアック的世界の人にはむしろ期待されているだろう言葉だろうから、そう記す)
むろん、第二次世界大戦で勝利を収めるには必須だったマッチョ的・ヒーロー的世界に背を向けて、ただ刹那的でだらしない世界で生きるのがこのカウンターカルチャーの骨子ですらあるにしても、ヒッチハイクしては無意味な事を繰り返す作品叙述に、飽き飽きしてしまうのだ。

ビートといえば、バロウズジム・キャロルの作品は、どこか退廃の中に美学が潜んでいるのを発見しやすく、興味を持てたものだった。しかしこれは、長編のだらだら感、幾度と無く繰り返される放浪が単なる放浪でしかないことが、読んでいて耐えられなかった(その延々続き繰り返される無為こそが、この作品の意義であることは重々承知にしても)。その時代にはとてもエキサイティングで革新的だったのだろうが、今これを読んで何かの足しになるかといえば、疑問だ。

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