音楽レビュー Tamia

音楽レビュー Tamia

Passion Like Fire (2018)


(★★★★★ 星5つ)




ソロアルバムリリースから20年。もうすっかりベテランだが、みずみずしい歌声と感性はそのまま。Tamiaはあの名曲”You Put A Move On My Heart”がデビューにして最高峰、と思われがち。確かに、”You Put A Move On My Heart”はあまりにも素晴らしい。が、そこがピークなのではなく、あれはいわばキラーチューンをTamiaが第1曲にして授かったという、彼女の宿命のようなもので、その先も素晴らしい音楽を届け続けている。(下記の”Beautiful Surprise”で、彼女にはキラーチューンがないと書いたが、認識を改めた)

個人的には2012年の”Beautiful Surprise”は残念で、次の”Love Life”はまたTamiaが戻ってきたという印象だったので、今回は期待半分、不安半分だった。結果、Tamiaは完全に自分を取り戻し、かつ進化したようだ。エッセンシャルで、言葉も歌も音も大事にした曲はどれも聴かせる。インディレーベルから出たアルバムだが、それだけにコマーシャリズムに流されずに済んだということもあるだろう。いずれにしろ、美しいアルバムで、20周年にふさわしい上質さ。バラード”Stay”では、思わず何かしている手を止めて聴き入った。ラストチューンの”You Are Loved”(Whitney Houstonの”The Preacher’s Wife”に収録の同名の曲とは別)は、フレーズの端々にまで神経の行き届いた歌唱が光る。アルバムを通じて聴いて、非常に満足感があった。(2018/9/10 記)

Love Life (2015)


(★★★★☆ 星4つ)




はつらつとして伸びやかなボーカルの美しさが光る。そして確かな歌唱力に裏打ちされる感情表現が一段と良くなった。本来のTamiaの美点が戻ってきて嬉しい限りだ。
また、ある程度のキャッチーさやメロディーの親しみやすさでポピュラリティーの獲得に向けて配慮しているのも好感。Kelly Price、Deborah Coxと共同のThe Queen Projectはどうやら進展がないようだ。公式サイトも器としては残っているが、何ら新しいニュースがない。そうしたことからもソロで頑張る方へ向かったのだろうか。出稼ぎ盛り上げ隊長Pitbullが出てきたらどうしようかと思ったが、さすがにそうした手は取らず、ゲストボーカリストを入れずに1人でやりきっている。

楽曲はどれも決して派手ではないが、しみじみ聴ける良さがある。シングルカットしてチャートを賑わせるようなものではない気はするが、捉えどころのなかった地味な前作とは一線を画している。白眉はやはりバラード。”Chaise Lounge”や、ラストの曲”Black Butterfly”は清冽な美しさが光る。良心的といってもいいこのアルバムの出来は、一聴の価値あり。(2015/6/20 記)

Beautiful Surprise (2012)


(★★☆☆☆ 星2つ)

「○○の秘蔵っ子」と売り文句を付けられて売り出された人は、どこか秀でた所があっても大成功に及ぶことが少ないように思う。TamiaはQuincy Jonesの秘蔵っ子と呼ばれて、Quincy Jonesのアルバム”Q’s Jook Joint”でボーカルを披露したことがデビュー。その曲”You Put A Move On My Heart”についてはリンクのQuincyのレビューで既に触れたが、Tamiaは確かに非凡な才能を持っていると言える。

が、ソロとなるとどうもぱっとしない。1995年の上記のデビューからもう17年(!)にしてまだアルバムを出せるのは、成功と言えるのかもしれない。ソロデビューから3作がゴールドというのもそう。しかし、「Tamiaといえばこの曲!」という、ソロ名義としてのキラーチューンがないのだ。そうした押しの強さがないながらもTamiaのボーカルの輝きに触れたくて、ずっと聴いてきた。

そして出たこのニューアルバム、前作”Between Friends”からは既に7年経っている。どうサプライズなのか聴いてみたが、やはり噴火力がない。またか、と残念。そして何故かゴスペル曲が何曲か混ざっているが、Tamiaと曲のキャラクターや構成がマッチしていない。気をそがれたところにもってきて、ラストの曲が何故か前々作のアルバム”More”に収録の”Still”のカントリーバージョン。確かにいい曲でリミックスも当時よく聴いたが、キラーチューンではない。このアルバムの構成はまったく謎だ。11曲収録なのだが、”Still”はなくして1曲目のバラードを持ってくればいいのにと思う。

2010年にはDeborah CoxKelly Priceと共同のThe Queen Projectというのを立ち上げたとの話もあるが、こちらはまだ2012年現在作品として世に出ていない。果たしてLSGのようなスーパーグループたりうるか? 次の展開を待ちたい。デビューから17年、そろそろしびれを切らしそうだが。(2012/8/28 記)

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