音楽レビュー Kelly Price


Sing Pray Love, Vol.1: Sing (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

アルバムタイトルからして、これから数年をかけて3部作を作るつもりなのだろう。しかし、PrayとLoveに入るべきような内容でもあるので、これからの曲作りや選曲は難しいものになるのではないだろうか。

相変わらずの哀歌の連続は、聴いていて少し食傷気味になる。それが彼女らしさといえば彼女らしさなのだが。そんな中、Chaka Khanの名曲”Through The Fire”はいい箸休め。シャウト型の彼女の声と歌い方によくマッチしている。アレンジもほぼ原曲のままなのは正解。

音はコンテンポラリーだが、彼女の音は声第一に作られているようで、デビューアルバムとシャッフルして再生しても違和感がない構成。それがいいのか悪いのか、それは聴く人の受け止め方次第だが、もう少し今の空気を取り入れてもいいような気がする。何ぶん、冒頭に述べたようにこれから出てくるであろうPrayとLoveの構成にもかかってくるので冒険は避けたのか。これからの推移を見守りたい。(2014/6/19 記)

Kelly (2011)


(★★★★★ 星5つ)

前作”This Is Who I Am”以来5年ぶりになるアルバムは、自らの名前をつけたアルバム。ゴスペル寄りの活動があったりしただけに、ソウルアルバムが出て嬉しい。

内容はというと、圧倒的な歌唱力は健在、声質はむしろ前より若く感じられるみずみずしさがあって、Kellyの魅力を堪能できる。音はエレクトリックに振らず、しかし懐古趣味に陥らず、本質的な音楽を感じ取ることができる。一気に聴けるので、「あれ、もう終わり?」と思ってしまうが、内容は充実している。こういうまっとうな作りのアルバムを聴くと安心する。