音楽レビュー Solange


A Seat At The Table (2016)


(★★★★★ 星5つ)




精神性の高い、繊細なアルバム。プロデューサーはRaphael Saadiq。同じソニーミュージックから手堅く選んだという事情はあるだろうが、いい組み合わせで、Solangeの細い声をきめ細かな多重コーラスで重ねたり、ソリッドなバックトラックとソロの声だけで勝負させたりして、聴き手を引き込む。ボーカルを差し替えてInterludeがなければ、Sadeがやったとしても違和感がないだろう。

ああ、これは姉Beyoncéとは全く別物だ、と感じさせる。姉が今年リリースした”Lemonade”でも、そのエッセンシャルな作りには驚いたが、このSolangeのアルバムには、”Lamonade”で感じた虚無感はない。そして、特に今年のリリースで期待しては聴いて残念に思った不幸な感じの他女性アーティストアルバムとも印象は異なる。このアルバムがビルボードチャート1位を獲得したのは、いわば地味な作りからすると驚きだが、聴いて損はない。タイトルのように、聴いて内面に向き合わせる力を持った作品(テーブルに椅子が1つであることに注意)。2016年の女性ボーカルアルバムでは最良の出来の物の一つ。(2016/12/7 記)