音楽レビュー Ne-Yo


Good Man (2018)


(★★☆☆☆ 星2つ)




ヒットを連発し、ダンスコンテスト番組での審査員を務めるなど、すっかりスターダムとしての地位を確立したNe-Yoだが、果たしてこんなダルな音楽でいいんだろうか、と、聴きながら疑問が浮かび続けた一枚。近年のR&Bにありがちなスカスカを辛うじて救うのは、メロディーが成り立っている曲があることと、ミドルレンジでのバッキングキーボードのリフが調性を保っていること、そしてNe-Yoのポップな声。

しかし、退屈でメリハリがない。何をすねているんだとたきつけてやりたくなる。終盤になり、タイトル曲”Good Man”で少し目覚め、続く終わり3曲でやっとNy-Yoらしさが出てくるが、どうにも大半が荒涼としていて、Ny-Yoの声の美点が活かされていない。そんな様はTrey Songzにでもやらせておけばいいのに、と思う作風で、なんとも残念。

これが今のR&Bだとしたら、もうR&Bに見るべきところはないのかもしれない、これから何を聴いていけばいいのだろう、反対にこれを聴いて満足な人は一体どこがどういいのか虚心坦懐に聞いてみたいと、様々な「?」が浮かぶまま、先述のラスト3曲だけ残してデータを消去してしまおうかと考えた。これが「スター」の「一流」アーティストの作品としてメジャーな評価を得るならば、一体今の音楽はどこへ向かうのだろうか? そしてこれがあのMotownレーベル(下に入ったNe-Yoのレーベル)からなのである。(2018/6/18 記)

Non-Fiction


(★★★★☆ 星4つ)

シングルカットされる曲から言うとNe-Yoはポップで、ちょっとお馬鹿で、少しダサ目というイメージだったのだが、アルバムは落ち着いている。お約束盛り上げ隊長Pitbullをフィーチャーした曲でさえ、適度に音が抜いてあって、EDMっぽい音使いもしておらず、ボーカルもどちらかというとしっとり目。他の曲も肩の力が抜けているというか、緩めの空気感が続く。

Ne-Yoのどこが魅力なんだろうかと思うに、それはその声が第一なのだろう。すこしメロウな気分にさせる声は、こうしたケレン味のない音使いのアルバムでは魅力がしっかり活きる。若いのだからもう少し突っ走った感があってもいいのかなと思うのだが、これはこれで大あり。トレンドに踊らされて何が何だか分からないうちに終わってしまうアルバムよりもよっぽどいい。(2015年2月16日 記)