音楽レビュー Meli’sa Morgan

Love Demands (2018)


(★★★☆☆ 星3つ)

カムバックアルバムの”I Remember…”後、また永らくのブランクがあって、もう新しい音楽は聴けないかと思っていたところ、またも13年を経過しての再カムバックアルバムが出た。どうやら自主制作盤に近いもののようで、あまりメジャーな販路に乗せられていないのが残念なところ。

ところで、肝心の出来なのだが、それが長年のファンとしては、時の経過のシビアさを感じざるを得ない。まず、懐古趣味的なカントリーソングのような曲が続き、正直ダルに感じる。そして、声は枯れてはいないが、さすがに若干細くなった。

もう少し攻めてほしかったというが偽らざる気持ちだ。そしてアルバムの構成的に、突然他の曲とマッチしない”No More”がラストというのも疑問。歌詞もネガティブで、せっかくの再カムバックなのに、もうやりたくないのかとさえ思わせる。今の時代に乗るにせよ、今の時代のサウンドに疑問を呈してカウンターを突きつけるにせよ、もう少し差し込む姿勢がないと、このアルバムに魅力を感じる人は少ないのではないかと思う。(2018/7/28 記)

I Remember… (2005)


(★★★★☆ 星4つ)




“Still In Love With You”の出た1992年以降、ニュージャックスウィングの波は急速にしぼみ、R&Bは強烈な個性を出しにくい時代に突入する。そしてMeli’sa Morganの名前はその後、1995年にJunior VasquezのリミックスがヒットとなったShades Of Loveの”Keep In Touch (Body To Body)”にクレジットされて注目を浴びたこと(その時来日し、日比谷ラジオシティで開催のゲイナイトでギグも行っている)以降、目にしなくなる。

そして突然、13年ぶりにOrpheus Musicからこのアルバムが出た。2トラックのイントロを経ての1曲目は、同じくOrpheus Musicから再起したFreddie Jacksonとのデュエット。1979年のRoberta FlackとDonny Hathawayの曲”Back Together Again”で、カムバックアルバムにふさわしい。

歌声は円熟味を感じさせながらもみずみずしさは健在、長いフェイクの節回しもそのままで、Meli’sa Morganの再起を素直に喜べる内容。ラストチューンのゴスペル”He’s The One”は圧巻。

Still In Love With You (1992)


(★★★★☆ 星4つ)
前作がセールス的に伸び悩んだ結果からか、Elektraの子レーベルでアーバンミュージックを専門に持ったPendulumレコードに移籍しての一枚。因みに前作よりはこちらの方が若干セールス的にはよかったようだ。

タイトル曲はAl Greenの曲のカバー。ただし、Masters At Workを共同プロデューサーに、この時代の売れっ子プロデューサーでRegina Belleの兄でもあるBernard Belleによって、新鮮なタッチにリメイクされている。

前半をダンスで押し、後半になるに従ってしっとりとした作りは、物語性があってまとまりが良い。飽きさせない魅力を持つ一枚。

The Lady In Me (1990)


(★★★★★ 星5つ)
ニュージャックスウィングの波がR&B界を席巻していた頃、その時代に合わせ、ダンサブルに振ったサードアルバム。歌うだけでなく、積極的に曲作りにも参加するようになった。

アルバムはチャートでは振るわなかったようだが、優れた歌唱力も活かされており、個人的には好きだった。時代らしくInterludeを挟みつつ一枚の流れを作っている。

Good Love (1987)


(殿堂入り作品)
実はこのセカンドアルバムがファーストアルバムよりも圧倒的によく聴いた。それは、ファーストカットの”If You Can Do It I Can Too!”の、Jody Watleyの”Looking For A New Love”や”Real Love”にも通じるグルーヴ感が圧倒的で、ダンサブルなこの曲が好きだったからだ。

しかしもちろんその曲だけでなく、名曲揃いで、ミッドテンポ~スローでも聴かせる。中でも外せないのはKashifとのデュエット”Love Changes”で、ブラックミュージック好きなら押さえておかねばならない。殊に、ラストチューンの”You’re All I Got”は必聴。

Do Me Baby (1986)


(★★★★★ 星5つ)




デビューアルバムにしてMeli’sa Morganの名を知らしめた名作。都会的で、いわゆるAOR流行りからブラックコンテンポラリーへのトレンドの移行の波にうまく乗ったこともあるが、何よりみずみずしく伸びやかな声の魅力が突出している。

深いリバーブの効いたスネアと整理された音数でしっとり聴かせる”Do You Still Love Me?”、同じくしっとりとした中にも激しい感情を織り込ませたPrinceの手になるタイトル曲の”Do Me Baby”など、この時代にしか生まれなかった名作を、Meli’saは卓越したボーカルで歌いきっている。

俺の中ではこのアルバムは、Regina Belleのデビューアルバム”All By Myself”とセットになっている。どちらの歌手も抜きん出た歌唱力で、以降R&B/ソウルに傾倒して愛聴する基礎になった。

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