音楽レビュー Johnny Gill


Game Changer (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

2011年にリリースの”Still Winning”にはあまりいい印象を持たなかったが、これがリリースされてまたJohnny Gillを見直した。ミドル~スローの曲が中心なのは変わらないし、音作りもどちらかというとオールドスクールなものなのだが、何かが前作とは違う。ハリがあるといえばいいのだろうか、歌い方も熱唱系の歌い方が戻ってきて、むしろ下記のアルバムより若々しい感じだ。

今のマーケットを意識したダンスチューン”Guinevere”も入っていれば、古巣のNew Editionをフィーチャーした曲も入っていて(そういえば出る出ると言われていてNew Editionのアルバムはどうなったのだろう、Bobby Brownをめぐる状況を考えると難しそうだが)、再起後のアルバムとして評価されることを期待。そういえばアルバムタイトルも、前作の”Still Winning”といい、今回の”Game Changer”といい、JGのキャリアを示そうとするものであるかのようだ。(2015年2月24日 記)

Still Winning (2011)


(★★☆☆☆ 星2つ)

Johnny Gill。懐かしい名前だ。ニュー・ジャック・スウィングの時代を思い出す。1993年のアルバム”Provocative”はよく聴いた。スリリングでアグレッシブな音運びや、バラードで魅せる歌いっぷりがよかった。その後、Gerald LeVert・Kieth Sweatと組んだLSGでは、アグレッシブさは引っ込んで、大人のボーカルを見せつけた。去年あたりから、ひょっとしてBobby Brownらと組んでグループでアルバムを出すのではという話があったが、ソロアルバムが出た。前作のソロアルバムからは実に15年ぶり。LSGの2枚目からでも、もう9年になる。

さて、このアルバムだが、やはりというべきか、メロウな風に振っていて、ベテランといえどもまだまだギラギラしていて欲しい年齢の(これを書いている2011年に彼は45歳)割にはおとなしすぎるのでは?と思ってしまう。

そして、曲があまりにも型にはまりすぎていて、Gillならでは、というものが時折みせるエモーショナルなフェイクの節回し以外に見出しにくい。これをもし「Kiethのニューアルバムだよ」と言われて聴かせられたら、声質の違いに戸惑いながらもそうらしいよなと思ってしまうかもしれない。Jam & Lewisの手になる曲もあるが、あまりらしくない。

この元気のなさは何としたことだろう。時代の趨勢には抗えず、というところか。歌に文句はないが、聴いていると自分が爺さんになった気分になる。リラックスタイム向けと割りきって聴くが、ちょっと残念だ。復活劇は難しい。