音楽レビュー LaShawn Daniels


Tears, Lies, Paradise (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

既にソングライターとして名高いLaShawn Danielsが自ら歌うソロアルバム。今まで手がけた曲はWhitney Houstonの”It’s Not Right (But It’s Okay)”やMonicaとBrandyの名デュエット”The Boy Is Mine”など。ちょっと一クセある愛憎劇が得意のようだ。このアルバムのタイトルも見てのとおり、愛の背後にあるストーリーを予感させる。

ビッグヒットを世に送り出しているだけに、作風は確立されている。前掲の”It’s Not Right (But It’s Okay)”のような、少し憂鬱な世界を、細かく刻んだ譜面に歌詞を詰め込んでどんどん語ってゆくスタイルが個性を描き出す。そうした作風が多くて、聴いていると気分が落ち込みそうになってくるのだが、Ne-Yoあたりが歌いそうなアップテンポの”Prisoner”あたりはちょうどよい箸休め。

声は男声としては細い部類か。ありがちといえばありがちな節回しで、歌い方は無難、しかしソングライターが自ら歌うというと、「他人に歌わせた方がよかったのにな」と思うケースも少なくないなか、この人の歌は十分聴かせる。インパクトにはやや欠けるものの、良質な一枚。(2015年3月2日 記)