音楽レビュー Diane Shaw


Love, Life & Strings (2015)


(★★★★☆ 星4つ)



事前情報なしに聴いてみた。いつも聴くR&Bとは少し違うなと思って後から調べたら、UKのソウルシンガーだとか。1962年生まれで20歳から歌っているが、これがデビューアルバム。長いキャリアの末のデビューを思うと、Darlene Loveを思い出す。

長いキャリアで50歳も超えているが、声は堂々とした中にもみずみずしさを残していて伸びやか。アコースティックな編成のクラシックなバックトラックに乗って、ちょっと懐かし目の世界を展開する。まるで70年代辺りのソウルサウンドがクリアになって聴こえてくるようだ。今となってはとても手間暇のかかる手法に、本気度を感じる。

アルバムを通じて毒気がなく、大人の色香を振りまく訳でもないので、インパクトには欠ける。が、その分、爽やかなサウンドは昼間に聴いてもぴったり。とかくセクシー売り・インパクト売りで現代のR&B/ソウルシーンが失ってしまった良心を感じさせるが、こうした音楽が出てくるのはやはり分かりやすさ至上のUSシーンとは隔たったUKならではか。せっかく陽の目を見たデビュー、これがまた次にも繋がっていってほしいものだ。(2015/10/8 記)