音楽レビュー Tamar Braxton


Calling All Lovers (2015)


(★★★★☆ 星4つ)



Braxton姉妹の末っ子、Tamarは近年意欲的にソロの作品を出している。引き合いに出されることを本人は好まないかもしれないが、Toni Braxtonを姉に持つインパクトは、Tamarにとってのヒットを出していたBraxtonsの印象よりも遥かに大きい。ちょうど去年はToniがBabyfaceとのアルバム”Love, Marriage & Divorce”でグラミーの最優秀R&Bアルバム賞を穫って久しぶりに第一線の評価を得ているだけに。

さてこの”Calling All Lovers”だが、音は流行りに振れすぎてもおらず、クラシックすぎもせず、コンテンポラリーR&Bとして正統派の作り。伸びやかで、ToniよりもハイトーンなTamarの声とマッチしている。音程感のしっかりしたフェイクはさすがBraxton姉妹。しかし、決定的な個性という意味でいうと、ダークで厚いToniの声とどうしてもどこかで比較してしまう。その辺りは姉妹の宿命で仕方がないのかもしれないが。

思い直してソロアーティストとして見ると、上質なR&Bを届けてくれる貴重なアーティストであると思う。ブレイクしてほしいものだ。(2015/10/11 記)