飲食店レビュー 鮨 しもくら(鮨 狸小路市場 札幌市中央区)


(★★★★★ 星5つ)

鮨 しもくらは、食べログに「隠れ家レストラン」とあるとおり、小路にひっそりとある鮨屋。しかし、かなりの魚通をも満足させる、通の店。共通の経営の魚屋が小路の向かいにあり、靴を脱いで玄関先の靴箱に入れてのれんをくぐる。カウンターは8席ほど。お昼に訪れて、1人前5000円弱ほどの握りを頼んだ。

握りは1貫ずつ出てくる。しょうゆはカウンターにあるが、すべての鮨は、たまりやポン酢その他を、あしらいとともにコーディネートしてくれるので、使う必要がない。包丁の入れ具合が細かく、仕事が丁寧でプロフェッショナル。しゃりは炊き具合・握り具合とも硬からず軟らかからず、魚を味わうのに最適な具合。

板前さんと話してみたが、「ああ、この人は本当に魚好きなんだなあ」と思わせる博識と熱の入れ具合。こういう人に握ってもらうと、幸せだ。食べる方も楽しめる。魚はその日にある最適なねたを選んで提供してくれるが、東京住まいの人間に一見馴染みのねたでも、味わいがまったく違う。

鮨の味わいを一番決定づけるのは、とにもかくにもねたの新鮮さとねたをいかに厳選するかに尽きるが、ここの店はこだわり抜いているのがよくわかった。向かいの魚屋と仕入れを共通にして、いい場所は協力して優先的に使うのだという。また、希少な部位や、ここのために育ててもらっている(!)ものなどもあって、食に喜びと驚きがある。銀座あたりでこれと同じクオリティのものを食べれば、1人前2万を下らないだろう。

文句なく星5つだが、レビューページの評価の凡例は「★★★★★(星5つ=最高に素晴らしい。他人にも是非お勧めしたい」としている。繁盛してずっとやっていてほしいが、こんないい店は人には秘密にしておきたいのが本音。(笑)