（★★★★★ 星5つ）
もんど岬は“リゾートWashoku”をコンセプトにした和食レストラン。鳥羽国際ホテル内にある。三重は海の幸だけでなく、野菜や肉も名産がたくさん。やはり素材の味わいを活かす料理といえば和食なので、期待をもって食事をしたのだが、期待以上のもので大変満足だった。
フロアは広々。オープンキッチンで、趣味の良い色合いと素材使いが、モダンかつラグジュアリー。
海沿い、窓際の席に案内され、食事を開始した。夜なので海は見えないが、ちらちらと船の灯が沖に見え、駅の位置する側の湾を眺めると、夜景が望める。季節外れの台風の余波を受けて少し雨が降っていたが、ライトアップされた和風庭園が下方に見え、風情があってよかった。
食事はコース『リゾートWashoku 答志 ～伊勢海老・鮑・お肉料理付～』を予約しておいた。酒はやはりこういう時は日本酒だなと思っていたところ、来年60周年を迎えるホテルの記念限定酒があったので、そちらを選択。そして、コースに含まれている土鍋ご飯は、オプションで旬を迎えた鮑の炊き込みに替えられるとのこと。鮑は好物、当然そちらを選択。
コースの運びはスムーズ。せっかくのリゾート食事なので、普段よりゆっくり目に食べる意識はしていたが、それでも美味しかったので、早めに平らげてしまいそうになるが、当然こちらの速度を考えて、最適なタイミングで出してくれる。
無論、サーブも的確。テーブル担当が1人と決まっていた訳ではないが、料理を運んで説明してくれる人は、食事の内容を完全に理解してよどみない説明だったし、焼石を仕込んだ土鍋で鮑（こちらはコースに含まれていた鮑料理の方を指す）を料理する見せ方等もお手の物。俺が左利きなのを見て、さらりと左用に匙等を用意してくれる細やかさも◎。とてもプロフェッショナルだった。食事を下げたり飲み物を注ぐスタッフも、にこやかでとても感じが良い。
肝心の料理だが、素材の良さに甘えることなく、技と仕事の丁寧さが感じられるもので、和食の奥深さを感じさせてくれるものだった。しかし、これ見よがしでなく、あくまで客をもてなす心が感じられるもの。つい、良い食事というと、シャンパーニュ好きなことも手伝ってフレンチを選びがちだが、和食も強力な魅力があるなと、発見させられた思いだ。
リゾートというと雰囲気だけで料金を盛って、「まあ観光地だからしょうがない、このお金で保ってるのだから」と割り切って食事をする経験もあるが、ここはとても正当、そして正統。わざわざ来てよかったと思わせる、満足感の高い店だった。
（2023/5/29 記）
