飲食店レビュー Crear Bacchus (モダンフレンチ 港区赤坂2丁目)


(★★★★☆ 星4つ)

Crear Bacchus (クレア バックス)は、モダンフレンチのレストラン。控えめな店内外装の隠れ家的雰囲の店。俺の55回目の誕生日で訪れた。入店すると、席数は抑えられており、我々のテーブルと隣のテーブルは、本来1つあったテーブルを取り除いて、かなり離れていた。店内はモダン基調かと思うと、花はデコラティブでクラシックだったり、照明はインダストリアルな雰囲気だったり、ビンテージの旅行トランクを積んだレセプションテーブル上には招き猫があったり、様々なテイストのミクスチャー。我々の横には、席数を空けるために除いたテーブルがあって、俺にはやや散漫かと感じられたが、それを面白いと捉える人もいるだろう。

料理の出るタイミングはつつがない。コースには、最初の1杯にシャンパーニュがついていたが、ほどなく出てきて、ストレスなし。ただ、我々はコース料理を食べる際にはほとんどがコースを通じてシャンパーニュを飲む場合が多く、ボトルで頼むのだが、たまたま前日にシャンパーニュがどんどん開いて、リストにある物のほとんどが欠品だった。その分、最初のシャンパーニュと同じ(銘柄失念 そう高くないスタンダードキュヴェだった)ボトルを安い値段で提供してもらったが、シャンパーニュとのマリアージュを期待していた分、少しそこは残念。店名にバッカスと入ってるだけに。

しかし、料理はなかなか面白かった。エンターテインメント性に富んでおり、最初のアミューズを食べると、皿はそのまま置いておかれて、ガラスの容器に含まれたスモークが少しずつ晴れてきてオードブルの1品目が徐々に姿を現すとか、モレキュラーキュイジーヌよろしく液体窒素で冷凍したバゲット片をつまんで、白い息がゴジラのように出るのを動画で撮ってくれるとか、ミニャルディーズが枯木に立てかけられたように配置されて出てくるとか、飽きさせない。

もちろん、エンターテインメント性があるだけでなく、料理本体も、確実な腕を感じさせるもの。和の食材を適度に使いつつ、様々な技法で展開していて、いかにも今のモダンフレンチらしいところが感じられる。

そして、食後にはグラッパやポルトなどのボトルをずらりと並べて食後酒を選ぶサービスがあり、目も舌も楽しませてくれる。こちらはバッカスの名の面目躍如。

シャンパーニュの欠品やら、インテリアのやや統一を欠くところなどはあったにしろ、食に真面目に取り組んでいるのはもちろん、演出でも楽しませてくれて、行く価値のある店と思う。こうした店を押さえておくと、デートなどでは株があがるだろう。(2022/11/27 記)