飲食店レビュー Aile Blanche(フランス料理 港区麻布十番2丁目)


(★★★★☆ 星4つ)

Aile Blanche(エルブランシュ)はフォアグラが売りのフレンチレストラン。フォアグラというと、大抵前菜に使われ、ねっとりとした食感の物を思い浮かべると思うが、ここはふるふるにやわらかく焼き上げたフォアグラをメインに出す。それを自ら「魔法のフォアグラ」と称していて、期待大。

訪れた麻布十番のビルは、1階を除き他の階にもそれぞれレストランが入るビル。1フロア1店舗で、エレベーターを降りるとエントランス。寒い平日の夜に訪れたせいか、客は我々より先に1組のみ。

例によって例のごとく、我々はコースを通じてシャンパーニュを飲むべく、リストを見ると、シェフがきちんと相性を考えて選んだのだろう、そうメジャーでないようなシャンパーニュの銘柄が並ぶ。面白いのだが、商売的には「フォアグラ食べたい! シャンパン飲みたい!」という単純なる客のために、ミーハーな銘柄も並べておいた方が商売上得策なのではないかなと思いつつ、フォアグラに合わせるならピノ・ノワールの比率が高いセパージュの物がいいのでは、と、今回はBernard Bremontを選択。

どうやらフロアー担当はソムリエではなさそうで、シャンパーニュの注ぎ方はややぎこちない。が、作法には則っているし、注ぐタイミングも適切で、その点はストレスフリー。

今回はクレジットカード会社の特典があって、カード会社経由でコースを予約して行ったので、フードメニューは見なかった。コースの開始に先立って、今回使う調理前のフォアグラを見せてくれる。厚切りで、血管はきれいに取り除かれ、きめの細かな塊。オプションで黒トリュフのスライスをかけられます、と言われて、横にトリュフも見せられたら、そうしない訳がない。無論それもオーダーしてスタート。

店内は少なめの席数で、少々色彩的には寂しい感じもする。シャンパーニュのリストと同じく、贅沢な食材に比例するゴージャスさを求めるなら肩透かしかもしれないが、限られた面積を活かすべくベージュでシンプルにまとめられていて、それはそれで好感が持てるし、肩肘張らないリラックスした感じと言うこともできる。

料理のスピードはそつがなく快適。手法と盛り付け方は適度に現代的。フロアー担当は適度に目を配り、次の皿へ進む速度、下げるタイミングも適切。料理の説明も過不足なし。出すぎず引きすぎずの接客。

肝心のフォアグラも、期待を裏切らず、文句なし。普通は一切れ、あるいは一口で通り過ぎるフォアグラをメインに食べられるのは幸せ。パートナーじょにおの好物の一つでもあるので、楽しんだようだ。食べたい物がフォアグラと決まっていれば、選んで正解の店。ただし、高価なフォアグラが材料費を食うので、値段としてはコースの構成は簡素。それは別に悪いことではなく、正当な値付けと判断だが、最近のフレンチのコースにあるように、アヴァンデセールがあり、プチフールが食後の飲み物にも出、といった満足を求めるなら、客は追加料金を支払うべき。(2019/2/1 記)