飲食店レビュー Salone Tokyo(イタリア料理 千代田区有楽町 東京ミッドタウン日比谷内)


(★★★★★ 星5つ)

Salone Tokyo(サローネトウキョウ)は、「イタリア現地と齟齬のない最新のリストランテの味を追求」する(公式サイトより)イタリア料理店。平日のランチにパートナーと訪れた。

後年見返す時のために書いておくと、世は新型コロナウィルス感染症により、飲食店は営業時間や酒類提供に制限が設けられ、都の非常事態宣言により、どこも経営がとても厳しい状況だったが、ようやく宣言が解除になり、食事に訪れたという状況。そんな状況ゆえ、日比谷の超一等地に位置するビル内でありながら、客は我々一組だけで、貸切状態でのランチとなった。

そんな状況ゆえか、我々の席は、縦長の店内レイアウトの一番奥。日比谷公園に面し、横を向けば帝劇や日比谷濠が眺められる上席であった。店内はイタリアンリストランテらしい、ラグジュアリーな雰囲気。天井が高く、敷き込みのカーペットは店のロゴが織り込まれている。感染対策は非常にきっちりしていて、来店客は手指の消毒・検温があり、各テーブルはパーティションで区切られており、我々の案内されたテーブルも、互い違いに席が用意されていて、アクリルのパーティションが置いてあった。我々は2人とも2回のワクチン接種を受けており、健康状態も把握しているので、と申し出のうえ、向かい合わせに変更してもらったが、こうした徹底ぶりは、かえって安心感に繋がった。

予約席にはゴールドの薔薇のオブジェ。窓の外は日比谷公園。
予約席にはゴールドの薔薇のオブジェ。窓の外は日比谷公園。
横を向けば帝劇や日比谷濠。
横を向けば帝劇や日比谷濠。

料理は全6品のコースを頼んでおいた。そこにワインのペアリングコースを付け、食後のチーズとデザートワインもつけた。まずはシャンパーニュで乾杯。リストランテゆえフランチャコルタかと思ったが、やはりシャンパーニュのラグジュアリー感は、こうした料理に欠かせないもののようだ。

料理はイタリアらしい、食の喜びを素直に感じられる物。説教めいた、客に挑む性質ではなく、すなおに上質さを客が楽しめるような食材と構成で、おいしさも、良い物を食べているという実感が得られる。各皿は下記ギャラリーを参照。

コース料理の一皿一皿に合わせたワインのペアリングも素晴らしかった。もしそのワインを単品で飲もうとしたら、味わいが個性的すぎてそう飲み進めたくもならなさそうなワインが、料理と組み合わされることで、お互いの良さが引き出され、味わいが豊かになる。普段そうイタリアワインは飲まないが、非常に興味深く楽しめた。

サーブのスピードは適切。料理の説明にもよどみがなく、しっかり理解したうえで話している感じがあり、好感。コミュニケーションにもそつがない。そしてもう一ついいなと思ったのが、メニュー紹介のカードの他、料理の説明が紙に書かれて出てくること。説明を聞いたあとで「これ何だったっけ?」と思った時にも、こうして家で思い返す時にも非常に役に立つ。字が大きいのも老眼の俺にはやさしい仕様。(笑)

料理の説明にこれだけのメニューが用意される。写真付きの一覧は、コースを終えて挨拶にやってきたシェフから直々にいただいた。
料理の説明にこれだけのメニューが用意される。写真付きの一覧は、コースを終えて挨拶にやってきたシェフから直々にいただいた。

俺もそうなのだが、何かいい食事をしたいなと思った時、第一選択肢はフレンチが多いことと思う。高級イタリアンというのは、「この間はフレンチに行ったし、和食も飽きたし」というところから、副次的にチョイスに上ることが多く、そこが日本でやっていくことの厳しさだ。しかし、今回食事をここでしてみて、ラグジュアリーダイニングでイタリアンという選択は、大いにありだと思った。料理方法・食材の豊かさも奥深く、ぜひまた訪れてみたい。応援したく、そして料理が気に入ったので、おそらくコロナ禍での用意と思われるパスタセットとティラミスも買った。そして他のリストランテも訪れようと思う契機になった、良い体験だった。

(2021/10/17 記)