Lawry’s The Prime Rib 赤坂(ロウリーズ・ザ・プライムリブ 港区赤坂1丁目)


(★★★★☆ 星4つ)

ロウリーズ・ザ・プライムリブ 赤坂を久しぶりに訪れた。5年弱ぶりのことだ。移転前の店はLawry’s初体験で、ゴージャス感に満足した覚えがある。今回は、パートナーとの年末お疲れ様会第2弾で訪れた。第1弾はこちら。2020年は、2回もお疲れ様会をしなければ満足しないほど、パートナーも俺もよく働いたのだ。

さて、新店は赤坂インターシティ AIR内にあるのだが、暮れ+コロナ禍で地下の店はすべからく閉まり、やっているのかと思うほど人がいなかった。3階に上がると、Lawry’sの奥に人の気配があり、しかし時節柄か、手前のバーは席には座れるものの閉じられていて、店前のウェイティングスペースのような感じに。入店すると、Lawry’sらしいゴージャスな空間。旧店もゴージャスだったが、クラシックな雰囲気を漂わせながらも、よりシックな雰囲気になっていた。赤坂の一等地で天井高を稼いだ広いフロアーは、それだけで贅沢だ。

こういうアメリカン系レストランは、空間の演出がとても巧い。壁際一番奥のボックス席に案内されたが、カーブを描き、シートバックの高い席には、特別感がある。着席し、あとは店のシステムに従うのみ。フレンチと違って、メニューの組み立てを楽しむよりは、メインのプライムリブ(厚切りローストビーフ)を目当てに、あとはこの時間と空間を気楽に楽しめばよい。

肉料理なので、酒はシャンパーニュのボトルより、乾杯用にグラスで。Perrier-Jouët Belle Epoque 2012があった。聞くと、プレステージキュヴェをグラスで提供するのは12月のみなのだとか。Belle Epoqueで3000円/グラスは良心的。あとは肉料理に合わせたバイザグラスの赤ワインをオーダーすることにした(パートナーはシャンパーニュ後はビール)。

旧店ではエンターテインするにこやかな接客が印象的だったが、新店では(テーブル担当によるのかもしれないが)よりフォーマルになった印象。しかし、こちらの酒のオーダーを見てコース予約内容を変更してくれる気遣いを見せるなど、柔軟で積極的な対応は、ここが高級店なのだなと実感できた。しかし、贅沢にスタッフを配置しているとはいえ、広い店内に分散したそれぞれのテーブルに目配りをするのは大変なのだろう、ちょっとしたオーダーをするのに人を呼ぶのに、気づいてもらえない場面もいくつか。

味は安定。3時間かけて火を通すというプライムリブを、好みの分量で切り分けるカーバー(carver)は、火通り加減により収縮率の違う肉も指定通りの重量で切ることのできる、試験に合格した熟練者のみができる仕事なのだとか。我々はミディアムレアでLawry’s Cutと呼ばれる300gの肉にしたが、肉質はさすが。シルキーで、パクパク食べられてしまう。離れにくい骨周りの肉は、こちらの希望に応じて食べかけの所もさらに火を通してくれる。

おそらく場所柄、接待や祝い事にも使われることが多い店だろう。値段はもちろんそれなりだが、肩肘張ることなく気楽に楽しめて、ゴージャスな気分になれる。下世話な話だが、テナント料金も相当高く、人も贅沢に使っているので、あとはコロナ禍を乗り切ってほしいと思わんばかりだ。(2021/1/2 記)