ブックレビュー カミュ


ペスト


(★★★★★ 星5つ)

書いてあることがごくまっとうなせいか、重い舞台設定で起伏のある構成なのに、さらりと 読めてしまう。長さを感じさせない。

凄惨で無情な光景のはずなのに、アルジェリアのエキゾチックさからか、どこか叙情的なものを感じさせる。文章、ストーリー、 根底にあるカミュの思考のほかに、主人公の名前の音の響きまでに心を配って書かれてあるように感じられたせいもあるからか。

言わずと知れた名作だが、やはり名作だけある。小学生の頃、祖父の家にあった世界文学全集で読んで以来30年余年ぶりに読んで、凄さがあらためてわかった。