シャンパーニュレビュー Lanson Noble Cuvée Rosé Brut


Lansonは従来Noble Cuvéeがトップキュヴェの銘柄だったが、最近の単一畑ブームにより、Clos Lansonをトップとして位置づけ、売りにしている。しかし依然として、Noble Cuvéeも造られており、プレステージとして売られている。通常のもの、このロゼ、そしてブラン・ド・ブランがある中、通常版は過去何度か飲んだ。今回はロゼ。

Lanson Noble Cuvée Rosé Brut
Lanson Noble Cuvée Rosé Brut

Lanson Noble Cuvée Rosé Brut(ランソン ノーブル・キュヴェ ロゼ・ブリュット)は、ノンヴィンテージで造られている。ミレジメ(単一年作)でやらないのは、一定の味にすることを意図しているのだろうか。セパージュはシャルドネ62%、ピノ・ノワール38%とあるが、ピノ・ノワールの赤ワインを混ぜているのか、セニエ(黒ぶどうの果皮を果汁に浸潤し、色を出す方法)なのかは判然としない。ドサージュも不明。Lansonのサイトでのデータシートもおざなりで、どうやらこのロゼは他のNoble CuvéeやClos Lansonに比べ、軽んじられているようだ。それでもぶどうの産地は厳選されていて、熟成期間も長く取られているようだが。

ラベル。
ラベル。

ベリー系の香りと共に、トップキュヴェにしてはシャープな酸が感じられる。通常、角を取り、複雑味を出すためにマロラクティック発酵(乳酸発酵)が行われるが、Lansonではフレッシュさを出すために伝統的に行わないのだとか。

フードペアリングの幅は広いようだ。用意したつまみとはいずれも喧嘩せず、楽しめた。ただし、何かが欠けている感じが否めない。「お、これはいいね」と思わせる何かが。

右下のはマッシュルームにクリームチーズを詰めてオイル漬けにしたもの。
右下のはマッシュルームにクリームチーズを詰めてオイル漬けにしたもの。

おそらくこのLanson Noble Cuvée Rosé Brutは、食事や会話を楽しみながら気楽に飲むのが良いと思う。そうじっくり向き合うようなものではない。

シャンパーニュではロゼは少し、バカにされる傾向があり、シャンパーニュ好きは大抵「ロゼはちょっと」と敬遠する向きがある。ちょっと赤ワインを混ぜてお祝い向けの色味にすれば、希少性も高まり価格は高めに売れる。そしてロゼを買う人も、そこに味わいを期待しないという、残念な実情からだ。公表している資料が不十分で、NVで造られるLanson Noble Cuvée Rosé Brutには、そんな売れ筋も用意しておかねばという背景が見え隠れする。もちろん、真面目に造られているロゼも世の中にはあるし、そういうものに出会ったこともある。これもそうだというならば、やはり造られたファクターをきっちり公表し、そして何より、味わいで体現しなければならないだろう。シャンパーニュは、嗜好品である。嗜好品であるからには、喜びがなければならない。その「何か」が欠けている感じが、少し残念だった。