音楽レビュー One Way featuring Al Hudson


#New Old School (2019)


(★★★★☆ 星4つ)
R&Bの名門レーベルExpansion Recordsからのリリース。元々のキャリアは長く、というか古く、主に80年代に活躍したグループだが、その時代の彼らの音楽はノーチェックだった。アルバムタイトルが示すように、音はまんまオールドスクール。ファンクの要素を含めながら、正統派の音を聴かせる。耳馴染みはいいのだが、彼らの偉業を知らないで聞くと、懐古趣味のように聞こえる。破壊的で、クリエイティビティーの望めない今のソウル/R&B界においては、まだ救いではあるのだが。

ソウル/R&B音楽に今、何を求めればいいのだろうか、ということを聴いていて考えさせられる。昔のスタイルの焼き直し、またはバリエーションを増やすだけでは、音楽としての進歩がない。好きなものを聴けばいい時代なのだが、興奮するような新しいスタイルや、歌唱力に圧倒されることがなくなったのは、ただ色々なものを聴いてきて耐性がついてしまっただけではあるまい。このアルバムを聴いて、「ファンクスタイルやアーバンコンテンポラリー、ニュージャックスウィングを経て、痩せた音のヒップホップが席巻し、また過去のスタイルがリバイバルして、というこの還流から抜け出すことはこの先あるのだろうか」と思わずにはいられなかった。しかしながら、彼らがまた今音楽を届けてくれたことに敬意を表して星4つ。(2019/7/31 記)