音楽レビュー P!nk

Hurts 2B Human (2019)


(★★★★☆ 星4つ)




キャリアの長いアーティストであり、初期のハウスリミックスが好きで、たびたび耳にしてはいたP!nk。優れたアーティストでありながら、自分の趣味とは今ひとつ異なったテイストであるため、今まできちんと通してアルバムを聴いたことがなく、従ってレビューに記すことをしてこなかった。

が、2000年のデビューアルバム”Can’t Take Me Home”から19年、今回の”Hurts 2B Human”を聴いてみて、あらためて骨格のしっかりした良いアーティストだと認識した。収録されている楽曲も、今のマーケットには望めなくなった明確な構成とメロディーの美しいもので、きっちり歌い上げる(意外にも)真面目なボーカルスタイルとあいまって、好印象。

曲調は、無駄が削ぎ落とされたオーケストレーションで、オーセンティックといってもいい。が、痩せてはいない。そしてどこかに寂寥感漂うのは、タイトルが示すとおり。人間が人間でいることは痛々しく辛い。それを見事に表現している。が、そんな寂寥感の一方で、どこか希望をもたせる感じがあるところも良い。メランコリックであったり自己陶酔的であったりしないところに、アーティストとしてのP!nkの技量を感じる。

かつてのパンクで尖ったイメージのままP!nkを語るのは誤りだろう。押しも押されもせぬ堂々たる表現者ぶりがここにある。ここまで褒めておいてなぜ星4つなのか?と思うかもしれないが、そこは純然たる音楽の趣味性の問題で、自分の趣味の真正面ではない、ということで。(2019/5/1 記)

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