シャンパーニュレビュー Simon-Selosse Brut Rosé Grand Cru


ワインショップのメルマガに、残念な知らせが載っていた。それによると、Simon-Selosseは体調不良で退き、後継者もいないので、畑と醸造施設をLouis Roedererに売ってしまったのだという。Simon-Selosseは、Jacques Selosseの妹と結婚し、その関係から有名になったせいか、いつもバイプレイヤー的扱いだが、それでも評判は高い。どんなものかと、慌てて買って飲んでみた。

Simon-Selosse Brut Rosé Grand Cru
Simon-Selosse Brut Rosé Grand Cru

Simon-Selosse Brut Rosé Grand Cru(シモン・セロス ブリュット・ロゼ グラン・クリュ)は、Simon-Selosseの醸すブラン・ド・ブラン(アヴィズ村産シャルドネ100%)に、アンボネイ村産の赤ワインを15%アサンブラージュして造られるロゼ。いずれの村も格付けはグラン・クリュだから、グラン・クリュと名乗ることができるわけだ。ドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は10g/lと、Brutでも6~8g/l位が主流となっている今としてはクラシックな量。

ボトル裏のラベル。
ボトル裏のラベル。

恥ずかしながらフランス語が分からず、Google翻訳によると「繊細なきらめき、輝く魅力、フルーティーな風味、やさしい調和」との記述。なお、ノンヴィンテージだが、両年にしか造られないそうで、味に期待。

開栓してグラスに注ぐと、泡は層を成すが、すぐに落ち着く。繊細な細かさ。色はオレンジがかったピンクで、透明感があり、美しい。

ロゼらしい華やぎのある色。
ロゼらしい華やぎのある色。

そして、美味い。ぶどうのふくよかな旨味がありながらも、シャンパーニュ然としていて、華麗で優美。ラズベリーやいちごのようなベリーの香りはあるが、ロゼにありがちな、スグリのようなえぐ味のある感じはせず、花やアカシアの蜂蜜のような優しさを伴っていて、するすると喉を通る。

普段ロゼを警戒しがちなパートナーも、これは気に入ったようだ。印象に残る良いロゼでいうと、Billecart-Salmon以来と。

この味わいを創り出すメゾンがなくなってしまうのは、あまりにも惜しい。ひょっとしたらLouis Roedererがメゾンを引き継いでSimon-Selosseの名を遺してくれるかもしれないが、造り手が違えば、二度と同じ味わいにはならないだろう。見つけたらもう2、3本は買っておきたい。