音楽レビュー Faith Evans and The Notorious B.I.G.


Faith Evansのソロについてはこちらを参照

The King And I (2017)


(★★★☆☆ 星3つ)




The Notorious B.I.G.といってもあまりピンとこない人もいるかもしれない。かつては名を馳せたラッパーだが、死去したのはもう20年も前の1997年なのだから。このアルバムは、悪く言うとそんな死人を掘り起こして働かせるゾンビアルバム(ゾンビの元々の由来はブードゥー教で死人を蘇らせて農園で働かせるという言い伝えによるもの、死人が人を襲うあれではない)。

余談は置いておいて、何故そんな故人をFaithが引っ張り出してきたのか、今ひとつよく分からない。FaithがThe Notorious B.I.G.の元妻であるとしても、感傷的すぎないか。音を聴いてみると、The Notorious B.I.G.が生きていた90年代のフレイバーを感じる。Interludeが多めなところも。

Faithの歌は安定しているが、ミキシングのせいか、若干声が今までよりも細めに聴こえる。そつなくこなしてはいるが、今ひとつ全力でない感じがするのも気にかかるところ。

メロディーを感じられる音使いはいいのだが、過去荒れてはいたがもう大人になった今のFaithの声に絡む卑語を含むラップは興ざめで、やはりこれを今やるべきだったのかとの疑問が消えない。特に、人とのコラボレーションがうまいFaithだが、コラボレーションだけでなく人も引っ張れるような存在なのに。ソロ名義に期待したい。(2017/7/2 記)