※Kenny Lattimoreとのデュエットアルバムはこちらのページを参照
The Rise Of The Phoenix (2017)
(★★★★★ 星5つ)
攻めの姿勢を見せた前作”Moore Is More”から4年ぶりのアルバム。聴いて第一に持った感想は、「ほっとした」。というのは、最近のマーケティング的音に押されてメロディーのない無味乾燥な音が続くものになっていなかった、ということがまず一つの大きな安堵。そして、タイトルを見ると最初が”Welcome To The Journey”、そして”On His Mind”、”Pray”、”Saving Grace”などとゴスペルアルバムなのか?というタイトルが並んでいたが、クリスチャンでなくても普通に聴けるアルバムであること。おそらく、パーソナルな人間2人の間の愛と、ゴスペルソングに見られる広義の愛との普遍性に共通項を持たせる、意図的なタイトリングと曲選なのだろう。
声はコンディションを保っており、自在に歌うテクニックも安定。ホイッスルレジスターからの切り返しもChanté Mooreならでは。最初聴いた時、そんなに声を張り上げっぱなしでなくてもいいのに、と思ったが、ちゃんと緩急ついていて、彼女ならではの繊細な多重コーラスも聴かれ、前作のような攻めから一呼吸ついた余裕も感じられる。
Chanté Mooreもすっかりベテランになって、こうした人がこのアルバムのような良質な音楽を届けることでシーンに影響力を与えるのは、とてもいいことだと思う。個人的に、2000年の”Exposed”が自分の中では自身の恋愛体験とも重なり、最も印象深いアルバムで愛聴盤なのだが、”Exposed”に近い奥深い印象を持った。(2017/10/4 記)
Moore Is More (2013)
(★★★★★ 星5つ)
安定した力に魅せられていつも心地よく聴いているせいか、これが5年ぶりのアルバムということに少々驚いた。今回は攻めている。アルバムタイトルからして、その意気を感じる。この10年に起こった自分のことを歌に託したとのことだが、いつになくエモーショナル。 ファンキーな女性ラッパーDa Bratをフィーチャーした曲”On & On”では、まるでPitbullあたりがやりそうな勢いのエレクトロハウスを聴かせる。これは2000年の名盤”Exposed”のアグレッシブなシングルカットの”Straight Up”以来のノリだ。と思ったら、Da BratはExposedの2曲目にも参加していた。
他にもバリエーション豊かで、彼女の特徴の一つであるホイッスルレジスターも存分に聴ける。Chanté Mooreはやる気だ、と思わせる1枚。(2013/8/1 記)
Love The Woman (2008)
(★★★★★ 星5つ)
歌唱力云々はもう取り沙汰するまでもない人。前作・前々作は当時夫だったKenny Lattimoreとのデュエット2枚組だったが、今回はソロ。ソロの方がいいような気がする。ミドル~スローテンポでセットバックした音を演出したり、 歌を存分に聴かせたりした本作は、大人の音楽。カバーでない新しい曲を聴かせてくれるアルバムとして、心地よい。ボーカルも出るところ・引っ込むところの 緩急がついているので、飽きさせない。
Exposed (2000)
(★★★★★ 星5つ)
それまでのブラックコンテンポラリーぽい音作りから一歩踏み出した作品。シングルカットの1曲目”Straight Up”は勢いのあるダンサブルなR&B。他にも良曲が続くが、なんと言っても白眉はJimmy Jam & Terry Lewisの手になるラストソングの”Love’s Still Alright”。メロディーも歌詞も美しく、心洗われる。Chanté Mooreのターニングポイントとして重要な1枚。
Precious (1992)
(★★★★★ 星5つ)
Chanté Mooreのデビューアルバムをあらためて聴いてみた。ゴールドアルバムにもかかわらず、ビルボードチャートでは当時101位だったとか。地味な印象だったのだが、聴くと良心的な作りで、音楽的にも完成度が高く、洗練されていて、Chanté Mooreの世界は最初から一貫していることが分かる。18年経っていまだ色褪せない良アルバム。