音楽レビュー Angela Johnson


Naturally Me (2014)


(★★★★★ 星5つ)

R&B、いやソウルの本質を突いた作品。自分の持ち味を理解したうえでそのエッセンスをアルバムにうまく落としこんでいる。音はアコースティックで構成もシンプルなのだが、スピード感やグルーヴ感をうまく表現しているし、かといって懐古的趣味に陥っていない。

どこかで聴いた音といえばそんな気もするのだが、EDMがR&Bを飲み込みつつある今、このナチュラルな音はかえってユニークに思える。歌い方も、白人ポップ歌手がこぶしを回してブラックミュージックっぽいことをするのも珍しくないなか、Angela Johnsonは本当にナチュラルに歌いこなしていて、天性のものを感じる。

ともかくこの人の作品は過去も含めて良作揃い。そこに新たなコレクションが加わった。(2014/11/9 記)

It’s Personal (2010)


(★★★★★ 星5つ)

スリリングでエキサイティング。声も歌い方も、確実に深みを増している。コンテンポラリーなサウンドスタイルには完全に背を向けて、アコースティックな編成での音楽を構成しているが、まとまりがあって、ボーカルが活かされている。
よき時代を懐かしむかのようでいて、懐古趣味ではなく、今できることを形にしている。特にアップテンポな曲が、ファンキーで心地よい。

Woman’s Touch (2008)


(★★★★☆ 星4つ)

アコースティックな編成で聴かせるソウルミュージック。幼げなジャケット写りとはうらはらに、深みのある声。デュエット曲が多く、90年代前半にR&Bを聴いていた人には懐かしいMonéとのデュエットがあるかと思えば、Maysaとのデュエットもあって、ジャズ/フュージョンへのアプローチも感じられる。

昨今はソウルミュージックとR&Bとのボーダーが曖昧になったが、それは言い換えるとソウルミュージックが少なくなってきてしまったことではないのかと思っていた。そんな中、正面切ってこれはソウルミュージックであると言えるアルバム。それは、歌い方やサウンドスタイルだけでなく、音楽に対する姿勢がしっかりしているからなのだろう。