シャンパンレビュー Drappier Carte Blanche Brut


ここ半年ほどは普段使いのシャンパーニュにいい物がないか探して試してみるのがひとつの楽しみ。普段使いとは、単体で向き合って「さあ飲むぞ」と気負って(?)味わってみる物でなく、「ちょっと飲みたいね」という時に気楽に飲めるスタンダードなもの。せっかく普段の食生活に加えるものだから、おいしいことはスタンダードであっても必要。むろん、気楽に飲めるというからには、価格もかわいくなくてはいけない。(笑)
今のところ我が家では、その辺りを総合的に考えて、Piper-Heidsieck Brutが不動のスタンダード。これは欠かさずセラーに数本~半ダースほど常備している。

先週、違う候補を3種ほど買ってみた。そのうちの1本は、前に飲んで気に入って既に普段使い候補となり、買うのが3度目のAgrapart & Fils 7 Crusで、これは味の保証付。安い値段だったらまとめて買っておこうと決めていたが、たまたま3種まとめ買いをした店舗では残念ながら在庫1本限りだった。そして新しく試すのが2つ、Drappier Carte Blanche Brut(ドラピエ カルト・ブランシュ・ブリュット)と、Pascal Doquet Blanc de Blanc(パスカル・ドケ ブラン・ド・ブラン)。

今回、まずDrappier Carte Blanche Brutを試してみた。ドラピエは、シャルル・ド・ゴールやシラク両元大統領、ルチアーノ・パヴァロッティも愛飲したとか(ラインナップのうちどれを飲んでいたのかは不明)。ドラピエはピノ・ノワールに熱心なメゾンで、現当主の2代前がピノ・ノワールの栽培をドラピエの本拠地で始めたのをきっかけに、ピノ・ノワールが周辺で根付き、ピノ・ノワールの父と言われたという歴史がある。また、自然農法に加えて、酸化を防止する二酸化硫黄の添加も普通のメゾンの3分の1ほどに抑えた自然志向という特徴もあるそう。セパージュはピノ・ノワール75%、シャルドネ15%、ピノ・ムニエ10%。

Carte Blancheの名前のとおり、ラベルは白。
Carte Blancheの名前のとおり、ラベルは白。

開栓してグラスに注ぐと、クリーミーな泡が立つのは、いかにもピノ・ノワールらしい感じ。泡はすぐに落ち着いて、細く立ち昇る。色は淡い。わずかにオレンジ味を帯びた感じもこれまたピノ・ノワールらしいのだが、今まで飲んだシャンパーニュの中でも一番淡い部類なのではないだろうか。

色合いが分かるように掲げてみた。
色合いが分かるように掲げてみた。

口当たりはアタックも強くなく、フルーティーでやさしい。セパージュを知らずに飲んだら、ピノ・ムニエが多いのかと思うような感じ。Brut表記ではあるが、さほど辛口すぎもせず、ぶどうの果実味を十分感じることができるタッチ。正直、明確にフィネスを感じるというところまではいかないけれども、心地良い感触で、単なるぶどう味のスパークリングではない豊かさがある。

「食事の時に気軽に開けられる感じだね」などと言いながら、じょにおと飲んでいたが、じょにおは結構これを気に入ったよう。ピノ・ノワール主体とはいえ、パワフルというよりはやさしいタッチのシャンパーニュで、重い肉料理までは対応できないだろうが、普段の食卓の軽い食事となら広範囲に合わせても問題はなさそうだった。

今回は食事でなく、夜単体で飲んだ。
今回は食事でなく、夜単体で飲んだ。

そして酔い心地も軽い。体に酔いの負担があまりないのは、黒ぶどう系では珍しい。そのあたりは自然派の恩恵か。ということで、これは気に入ったので、また見かけたら買っておこうと思う。