さすがに暑いと、すっきりとした飲み口の物が欲しくなる。でも、ただ泡と酸だけではつまらない。そんな時この1本は選ぶ価値がある。

Gimonnet Gonet Tradition Brut(ジモネ・ゴネ トラディション・ブリュット)は1986年に設立の、比較的新しいメゾンの屋台骨を支えるスタンダードキュヴェ。新しいメゾンながら立地には恵まれ、優れたシャルドネを生み出すコート・デ・ブランにメインの畑を持つ。そしてピノ・ムニエとピノ・ノワールはヴァレドゥラマルヌ。いいシャンパーニュができる素地が揃った地の利を活かして、彼らのシャンパーニュは造られる。もちろん最近のシャンパーニュメゾンは多くがオーガニックを売りにするとおり、ここのぶどう栽培もオーガニックの流儀に沿っているとか。
Gimonnet Gonet Tradition Brutはスタンダードキュヴェながらピノ・ムニエは使われず、セパージュ(使用されるぶどうの品種の比率)はシャルドネとピノ・ノワールが半々。ドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は8g/L。
色はシャルドネのニュアンスのある薄緑色のヒントがある淡い色。泡は勢いが良く、層を成していきいきと立ちのぼる。

香りは爽やかで、柑橘系というよりは柑橘系の花のような香り。しかし底にはきちんとしたぶどうの骨格を感じるので、軽いだけではない。酸は弱くはないが品がある。グラスに注いで一口目で「ああおいしい!」と気分がリフレッシュされるような、ほがらかさととっつきの良さがあるが、退屈はしない。
軽く爽やかな部類ではあるのだが、薄っぺらくはなく、フードとの相性も良好。ミルクの風味豊かなカマンベールや、ドライフィグ、生ハムとまで幅広く対応できる。

パーティーの開始時などにあると気分が華やぐし、価格もお買い得の部類なので、見つけたら普段使いに手に入れておくのも手。シャンパーニュらしさを感じさせてくれる1本。