シャンパーニュレビュー Billecart-Salmon Demi-Sec


思い返せばとある年のクリスマスイブに、ふと気まぐれに飲んでみたDeutz Demi-Secが本格的なシャンパーニュライフの始まりだった。それまで祝いの席やら飛行機の出発時やらにさらっと飲むだけだったのが、じっくり付き合ってみて香りや味の変化に瞠目し、以来色々なシャンパーニュを飲むことになり、また、クリスマスにはその体験を振り返って甘口のシャンパーニュを飲むのが、我が家の通例となっている。

基本クリスマスには思い入れはなく、プレゼントも用意したりしなかったり、食事も気が向けばそれらしいものを用意するが、そうでなければ普通に和食で済ませたりするのだが、やはり世間の雰囲気にかこつけて美味を楽しみたいではないか。

今年はこの一本を選んだ。

Billecart-Salmon Demi-Sec
Billecart-Salmon Demi-Sec

Billecart-Salmon Demi-Sec(ビルカール・サルモン ドゥミ・セック)は、シャープで端正なシャンパーニュを造ることで知られるBillecard-Salmonのドゥミ・セック。ドゥミ・セックを出しているメゾンは少ない中、Billecart-Salmonがドゥミ・セックを造っているのは意外だ。伝統を大事にしていることの現れか。

ドサージュ(澱抜き後の補糖)は、ドゥミ・セックだから32g~50g/Lのはずだが、このBillecart-Salmon Demi-Secでの正確な量は定かではない。セパージュ(使用するぶどう品種の比率)は、ピノ・ムニエが5割、シャルドネ3割、ピノ・ノワール2割と、こうした味わいのシャンパーニュはふくよかさとフルーティーさが必要なのか、ピノ・ムニエの比率が一番高い。

クリーム色のエチケット。
クリーム色のエチケット。

甘いデザートと共に楽しむべく、今回はチーズケーキ、シュトーレン、トリュフチョコレート、ナッツの蜂蜜漬けに熟成ブリーをアソートしたものを用意。

チーズケーキにかけたラズベリージャムはじょにお叔母のお手製。
チーズケーキにかけたラズベリージャムはじょにお叔母のお手製。
せっかくなので、灯りを落として、キャンドルを灯して。
せっかくなので、灯りを落として、キャンドルを灯して。

泡立ちは細かく、やや細い。エキス分の濃い液体の中を上品に立ち上ってゆく。色は濃い黄金。黄桃のコンポートを思わせるとろりとした味わいと香りは、時間が経つにつれて蜂蜜のような濃密なセクシーさに変わってゆく。

夜は更けて。
夜は更けて。

ドゥミ・セックはものによってはただブリュットに加糖しただけかと思わせるようなものもあるが、これは上質な感じで、シャンパーニュを知り、飲みつけた人にも楽しめる甘口だと思う。じょにおも気に入った様子だった。