音楽レビュー Miguel Migs


Shaping Visions (2021)


(★★★★★ 星5つ)

Naked Music Recordingsのような音を楽しんでいた人は、一体今何を聴けばいいのだろうと長年悩んでいたところにこの新譜。2000年代には既に完成しきったスタイルなので、そこには変化を求めない。新しい音といっても、バリエーションがほしかった。少し気だるく、物憂い音。夏の夜をクールダウンさせてくれる、涼しいゲストボーカル。そこには気に入りのAyaLisa Shawがフィーチャーされていて、もうそれだけで満足。音数を抑えた作りでありながら、聴かせる。それでありながら、うるさくない。こんな音楽を聴きながら、夜の都会を車で流したくなる音楽。
(2021/7/31 記)

House Masters (2012)


(★★★★★ 星5つ)

ファッショナブルでクールなディープハウスの第一人者。Blue SixAyaLisa Shawといったディープハウスの代表的ヒットアーティストの曲あり、一方でMe’Shell NdegéOcelloやEvelin “Champagne” King、Ledisiといった、R&Bを聴いてきた人なら「お!」と注目する渋いアーティストをフィーチャーしたりしていて、なんとも豪華。

音で特徴的なのは、スタイルはいかにもディープハウス然としていながら、リズムパターンが豊富なこと。ミニマリズムにも通じる4つ打ちのシンプルな音構成で、よくこれだけカラフルな違いが生まれるものだ。そしてハウスプロデューサーにありがちな、リズムトラックの使い回しがほとんどない。それでいて、独自の世界としてのまとまりがある。

ディープハウスは単調で憂鬱と敬遠しがちな一方でスタイリッシュな音を求めている人にはお勧め。(2013/1/22 記)