Tears On The Dancefloor (2017)
(★★★★☆ 星4つ)
下記の”Light Up The World”はホリデーアルバムだったこともあり、そして中身が華やかなものでもなかったので、この作品が真のカムバックアルバムということになるだろう。
前作の反省を踏まえてか、往年のStepsファンをかっちり捉えた音作り。ダンサブルでメロディック、これぞStepsというキャラクターを全面に打ち出している。Almighty Definitive MixやW.I.P. Remixあたりが出たらもうまんま昔の音だっただろうが、さすがにその辺は今という時代ゆえ7th Heavenに委ねられている(それでも7th Heavenでさえもはや懐かしリミックスの部類に入るかもしれない)。ボーカルラインは何と言ってもClaireが主役。順当なところだろう。
悲恋のダンスチューンやコーラスワークなどは往年のABBAのようだ。UK産ABBAという位置づけは昔から取り沙汰されていたところが、これをもって一層そうした印象を持った人が増えてもおかしくはない。但し、ABBAという文化遺産を知っていれば、の話だが。いずれにせよ、ポップの王道として恥じない作りで、殺伐とした音ばかりが並ぶUSチャートに食傷気味の人はこちらがお勧め。(2017/6/11 記)
Light Up The World (2012)
(★★☆☆☆ 星2つ)
いつの間にかStepsが再結成していてアルバムが出ているので久しぶりに聴いてみた。再結成のアルバムはクリスマスがテーマなのだが、大人ムードを出すためなのか、静かな曲ばかりなので、Stepsに期待していた人は少しがっかりするだろう。同タイトルのシングルにはハウスリミックスがあって、そちらは大体の人の頭の中にあるStepsのイメージ。
聴いていて少し変わったなと思うのは、メンバーそれぞれにリードを取るパートが増えたこと。前はClairのボーカルが目立っていたが(それはそれで良かった。Clairの声の魅力はStepsをスターにした大きな要因だ)、今回は代わる代わる各メンバーの声がする。
このアルバムは彼ら自身によって設立されたレーベルからのリリースであることもあり、よりグループとしての打ち出しを試みたのだろう。ポップグループとはいえ、歌唱力は日本のアイドルと違って文句もなく、その意図は分からなくもないが、やはりボーカルパートに関しては華のあるなしでリードを取る資質のあるなしが決まってしまうのだから、公平感に気を遣ってもそれはかえってグループの成功には寄与しないのではないかと思う。餅は餅屋、リードはリードとしてClairに任せると割り切った方がいい気がする。
総じて言うと、クリスマスというテーマがありながら掘り下げが足りない印象。また、大人に脱皮したいのは分かるが、ダンス・チューンがないのは残念。大人はダンスしない、なんてことはないのだから、シングルのリミックスでカバーするのではなくて、オリジナルからして元気を見せてほしいものだ。(2013/1/10 記)