音楽レビュー Oleta Adams


Third Set (2017)


(★★★★☆ 星4つ)




下記”Let’s Stay Here”以来8年ぶりのアルバム。なのだが、残念ながらフルオリジナルソングのスタジオアルバムではなく、カバーソング中心。アメリカでの自由をめぐる激しい世論のぶつかり合いがある今、Bob Dylanの”Blowing In The Wind”をカバーしたのは、もちろんOletaの姿勢を反映したものだろう。Oletaは自身の公式サイトでリリースに際し、”At this point in my life it’s kind of cool that I don’t have to ask anybody’s permission anymore about what I want to sing.”(人生のこの時点で歌いたいと思う物に関して誰の許可を得る必要もなくかっこいいもの)と述べている。

そのことにはOletaが長年R&B/ソウル/ゴルペルでやってきたが、このアルバムにCole Porter, Frank SinatraからJoni Mitchell、そして自身のセルフカバー(しかし曲提供はTears for Fearsの手になるもの)まで、ともすれば節操がないと思われるようなジャンルを超越した選曲に関して、好きならそれでいいじゃないかという釈明をつけておくということでもあるのだろうが、やはり多様性や自由について制約は要らないということがまず第一であるのだと思う。

肝心の楽曲は、どれもOletaらしいもの。そして、不思議な統一感がある。ボーカルは表現力・声質とも深く豊か。本物の音楽とは何かを知るに、聴いておきたい上質さがこのアルバムからは感じられる。だがそれだけに、ここまでのパワーがあるならそれを新しいオリジナルの創造として届けてほしかったとも思う。(2017/2/14 記)

Let’s Stay Here (2009)


(★★★★★ 星5つ)

2006年に発売されたアルバム”Christmas Time With Oleta”は、題名のとおりクリスマスアルバムで、あまりクリスマスソングに興味のない俺はスキップしていたので、Oleta Adamsのアルバムを新しく聴くのは、2001年リリースの前々作”All The Love”以来、実に8年ぶり。

相変わらずの豊かで深い声、美しいメロディーライン。ほっとする。一日の終わりに疲れを癒したい時などにお勧め。