音楽レビュー Jill Scott


Woman (2015)


(★★★★☆ 星4つ)




実力があるのは世間に知られているところに偽りなしだが、個人的に声色というか発声が好きではなく、長年横目で見るだけに留まっていた。今回、ベスト盤を除くと初めてアルバムをきちんと聴いたのだが、やはりその印象変わらずといったところ。

ただ、少し肩の力が抜けたというか、作られたオーガニックソウルではなく、ナチュラルな姿勢になったせいか、その今一つ受け入れられなかった癖がやわらいで聴きやすくなった。今時分の残念なシングルヒットチャートに登場した曲達を聴いた後にJill Scottを聴くと、どこかほっとする。

アコースティックなバックトラックはトラディショナルな印象。もし70年代に出たアルバムのリマスター盤だと言われたら信じてしまいそうだ。どうもそこがネックで、最近のチキチキ打ち込みR&Bはいただけないし金太郎飴EDMもどうかと思うのだが、このアルバムは2015年にやるべき音か?と思ってしまう。

どうやら俺にとってはいつもどこか少しずつイライラ・イガイガしたものを感じるJill Scottなのだが、このアルバムは、歌とは、R&Bとは、ソウルとは、などと色んなことを考えるいい機会にはなった。(2015/8/13 記)