音楽レビュー Jennifer Holliday


The Song Is You (2014)


(★★★☆☆ 星3つ)

オリジナルアルバムはゴスペル盤を除くと実に20年ぶり。やっと出してくれたかと喜び勇んで聴いてみたのだが、あまり個人的には大満足とはいかなかった。それは期待値が高すぎたからなのだが、詳細は以下に。

まず、妙にジャズ寄りなのが気にかかる。もともとミュージカル畑出身で、泣く子も黙る元祖Dream Girlsの”And I Am Telling You I’m Not Going”が持ち歌であるがゆえ、大きなオーケストレーションをバックに朗々と歌うのはもちろん予想の範囲内なのだが、どうもあのコテコテ具合とエレガントな曲調とがちぐはぐな感じ。特にあのAnita Bakerの”Look Of Love”のカバーなんかは、Anita Bakerのの方が圧倒的にいいし、”At Last”はTina Mooreが演っていた方が声質にマッチしていた。

本人の好みなのかもしれないが、サウンドスタイルがいかにも古いなあと思いつつ聴いていると、後半にはややポピュラー寄りの曲が出てきて、少しほっとする。しかしまたあのPhyllis Hymanのカバー”It’s Not About You”で「ああ、オリジナルのあの洗練が懐かしい」と思ってしまう。

つまるところ、偉大な歌手なのだからオリジナルでもって正攻法でやってほしかったというのが正直なところ。もちろんあの歌唱力をもってすればこれが単なるカラオケアルバムとはまったく異なっているのは言うまでもないのだが、それだけにもっと魅力を活かしてほしかった。それから、このアルバムカバーの髪型は全然似合っていない。(笑)(2014/1/29 記)