音楽レビュー Jagged Edge


Layover (2017)


(★★☆☆☆ 星2つ)




90年代から活動を続けるJagged Edge。このところの90年代回帰ブームに乗ってのリリースなのかどうかは分からないが、久しぶりに名前を聞いた。前作のリリースは2011年だから6年ぶりということになる。

で、音なのだが、回帰調かと思いきや、今風。入念にマーケティングされたのであろう音。かつてダブルプラチナを獲得した時のヒップなうねりは影を潜め、ただただ空疎で陰鬱な音が続く。メロディーは感じられない。したがって、歌に特徴だった面白味もない。ずっと流れていると鬱になりそうだが、内省的で深い思索に引き込むような内容ではなく、ただ単に憂鬱になる。R&Bとは違ってヒップホップなのだからこれでいいのかというと、そうではないと思う。R&Bはこのところ90年代回帰である種のバイタリティーを取り戻したように聞こえるが、ヒップホップでは荒涼たる世界が続く。これは何とかならないだろうか。

このアルバムは、流行りこそが正義と考える人ならばコレクションに入れてもいいだろうが、少なくとも俺にとっては複数回プレイしたくなるようなものではなかった。(2017/9/4 記)