音楽レビュー Beverley Knight

Soulsville (2016)


(★★★★★ 星5つ)




カバー集だった前作から5年経って、オリジナルスタジオアルバムがリリースされた。ジャケット写真からしていわゆる黒っぽさを存分ににおわせるもので、聴くとまたこれがいい。コアなブラックミュージックファンをも納得させる出来。ああ、こういうグルーヴが聴きたかったんだよなあ、と思いながら思わず体が動く。かつてParlophoneから独立した後、今回はワーナー傘下のEast West Recordsと契約し、安定的制作ができるようになったのも、この音作りに寄与しているのかもしれない。

最初聴くまではインディペンデント時代に出したアルバムの憂鬱な感じだったらどうしようかと心配した。が、”Middle of Love”の出だしでそれは払拭され、杞憂だったと思えた。歌も完璧。声のコンディションも瑞々しさを保っている。デビューアルバムの”B-Funk”のグルーヴも素晴らしかったが、この作品でまたUKソウルの星としての評判が上がることが期待できる。

過度なマーケティングによりアメリカのR&B/ソウル、特に女性シンガーの作品に対しては期待が持てない今、UKではまだ良質なR&B/ソウルがあるのかと感じさせてくれる。久しぶりに良盤に出会った。(2016/6/20 記)

Soul UK (2011)


(★★★★☆ 星4つ)

1995年のデビューアルバム”B-Funk”はよく聴いた。ダンサブルなグルーヴ感、ソウルフルな歌声という使い古された謳い文句があるが、それをきちんと両立させている物は意外に少ない。そんな中、”B-Funk”は高いクオリティーでそれを両立させていた。続くいくつかのアルバムも聴いたのだが、どうもスピリチュアルな方向が強くなりすぎて、聴いていると陰鬱な気分になってしまい、Beverley Knightの音楽からは少し距離を置いていた。

それがこのアルバムでは、ソウルのうねりを取り戻していて、デビューの時の輝きが戻ってきたようだ。クラシックソウルのカバーアルバムということで曲が選ばれているが、1曲目はなんとあのSoul II Soulの”Fairplay”で、Soul II SoulのJazzie B自身が登場している。Young Disciplesの”Apparently Nothin”やOmarの”There’s Nothing Like This”など、90年代初頭に耳馴染んだ名曲が続くが、それらは自分がリアルタイムで聴いてきた曲なのに、「クラシック」として扱われていることに多少の衝撃を受ける。

うねり感はアルバムが進行するにつれて少なくなり、整理された音で構成される中盤では「また聴きづらくなるのか?」と危惧されたが、親しみやすい曲群に救われる夫。そしてアルバムはソウルアルバムながら、George Michaelの”One More Try”で締めくくられる。ソウルのみならず、ポピュラー音楽史の中で90年代からの音楽がやってきたことを振り返るのにいいアルバム。

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