音楽レビュー C. Robert Walker


Something’s Going On (2013)


(★★★★★ 星5つ)

しっとりシルキーで少し昔のクワイエットストーム系でも志向しているのかとおもいきや、ハウスのサウンドスタイルも取り入れていて、スムース・ジャズでも現代的な音作りに寄っている人。と思ったらなるほど、ディープ・ハウス界ではいくつかシングルリリースがあって、むしろこのスムース・ジャズ調のアルバムの方が彼にとっては例外のようで、過去のリリースを見るとLittle Louis Vegaの手になるリミックスなんかもある。

ディープ・ハウス出身というと禁欲的で、おせっかいめいた陰鬱な世界を思い浮かべるかもしれないが、本作はリラックスタイムに聴けるようなかろやかな印象。それは、ジャケット写真でにっこり微笑む本人の表情のよう。かろやかすぎて、どこかにもっと引き込むアクのようなものがあってもいいかもしれないが、たまにはさらっとした音楽を楽しむという選択としてはあり。洗練されている。(2013/7/4 記)