レストランレビュー Chez Inno(フランス料理 中央区京橋2丁目)

(★★★★★ 星5つ)

Chez Inno(シェ・イノ)はグランメゾンを自ら名乗るフレンチレストラン。オーナーシェフ井上旭氏はフランスの名店で修行し、書籍も著す有名シェフ。定評があり、安心できる店であろうと踏んで選択(今回はパートナーじょにおの誕生日で行った。以前、アバンギャルドな他の店でシェフのピリピリ感がフロアにまで伝わってきたことがあったので、今回はじょにおから、店を選択する希望の一つに「ホスピタリティのある所」というのがあった)。

店をランチで訪れた。2004年に竣工でビルとしてはまだ新しさの感じられる明治製菓の本社ビル1階にある。レセプショニストの女性は大変にこやかで感じが良い。予約台帳と名前の突き合わせをせずとも時間に誰が来るのかを把握していて◎。店内は重厚な雰囲気ながらも、まだ建材は年月を経た感じがしない。平日のランチ時だが、この種の店で満席に近かった。

奥まっていながら店全体が見渡せる良席に通してもらい、食事がスタート。グランメゾンを標榜する店なので当然昼間もソムリエがいる。我々は例によって例のごとくコースを通じてシャンパーニュで行きたい旨告げ、リストを見ると、面白い物が揃っていて迷う。しっかりした仕立てのコースだろうと踏み、オーク樽の香りがあって比較的パワフルだけれども洗練されたHenri GiraudのHommage à François Hémartをオーダー。今回は自分でチョイスしたが、ソムリエはシャンパーニュの知識も豊富で、Henri Giraudの面白さについても話せて、印象が良かった。無論サーブも完璧。

フロアヘッドもまたにこやかな接客の人で安心できた。メニューの選択時にも、それぞれの料理の調理法から説明してくれるので、楽しい。ゼリーを使わないで寄せたテリーヌの切り方、フォアグラにスモークの香りをまとわせる方法なども聞くと丁寧に教えてくれ、キッチンとフロアが料理について意思疎通がきちんととれていて、フロアも料理を把握している。これは、料理に関心を持って食べに行く身としては嬉しい。
「楽しんでくださいね」という一言や、「お料理もよければ写真撮っていってください」とこちらが聞く前に許可を出してくれて、気兼ねなく楽しめる。目配りもきちんとしているので、人を呼びたい時に痛痒を感じることもない。

料理は王道的な食材と調理法を踏襲しながらも、真空調理など現代的なことも採り入れていて、オーソドックスすぎず、アバンギャルドすぎす、バランスが良い。味つけについてはややクラシックな印象。フォアグラや真鯛のペルノーソースなどは、やや甘味が勝るが、クラシックな料理が好きな人なら違和感はないだろう。造形、火入れなどはさすが。特に野菜は素材感が活きている。

デザートはこれもクラシックなスタイルで、ワゴンで運ばれてきてチョイスする方式。最近は皿で決め打ちが多いなか、これも嬉しい。じょにおのバースデープレートが出された後は2人で写真も撮ってくれた。

大変気分よく食事ができて、良い店。接待などで失敗が許されないような場面でもOKと思うが(実際、会食の光景も見られた)、こういう店はできればプライベートで楽しみたい。

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